渡部陽一1000枚の戦場 12~14/1000・ウクライナ編3
【内容】
渡部陽一氏が撮ってきた膨大な写真の中から1000枚をピックアップし、「戦場のホント」を動画とテキストで解説する。
第三回は「12/1000~14/1000枚目」。5月に続き6月にもウクライナ取材を敢行した渡部陽一が撮った写真。首都キーウ、そのど真ん中には日常が戻りつつある。多くの人が行き交い、高級ホテルなどが建つ場所には「戦車」が置かれていた。果たして理由とは?
そして捕虜が重要な意味を持つわけとは――? 今回は3枚の写真から現地の状況を解説します。
#12/1000
侵略戦争むき出しだったイルピン、ブチャ、ホストメル
こんにちは、戦場カメラマンの渡部陽一です。
ウクライナ戦争でロシア軍の破壊された戦車の中から回収されたロシア軍兵士の装備品。軍用の帽子、スカーフ、ブーツであったり手袋であったり……。
ロシア軍が支給した装備が回収されたことで判明してきました。
ロシア軍は徴兵された地域の若者たち、それ以外に義勇兵として集まってきた外国部隊。さらにはお金で雇われたプロの戦闘兵士もごちゃ混ぜになって大規模なロシア部隊になっています。
この首都キーウに関与した攻撃部隊は雇われたプロの戦闘集団プラス地方から集められた若者たちが――気づかないうちに戦闘に巻き込まれた。
軍事訓練と言われてベラルーシというウクライナ北部の国に運ばれた若者たちが気づいたら国境を越えてウクライナ側に運ばれていた。そのような声も拘束されたロシアの若い兵士からあがってきています。
そして回収された兵器を見ていくとそこで戦っていた兵士が拘束され捕虜としてウクライナ政府が確保すること――そこではもちろん国際条約、戦争犯罪にしっかりと向き合い、捕虜に対する虐殺であったり圧力というものは世界の国際法上では認められていません。
ただ世界の刑事裁判であったり司法裁判所ではロシアもウクライナもその枠には入っていなんです(編集部注)。
それゆえに、お互いが戦争の中で戦争犯罪をしたそれを物証や情報でしっかりと証明していくことは、これからの戦争の傷跡を証明していくうえでは大切な証拠になります。
その中で捕虜を拘束しその証言をすくい上げていく。気づかぬうちに若者たちが戦っていた。もちろん本音の声もある、スパイのような声もある。
「情報の戦い」が「捕虜の戦い」の中1つの情報の戦いと言われています。
先日はいよいよウクライナ政府とロシア軍が捕虜の交換契約をしっかりと結びそれを履行しました。
144名の兵士をウクライナ側、ロシア兵をロシア側に戻した。ロシア側のあの南部マリウポリのアゾフスタリ製鉄所の中で閉じこもっていた怪我をしていたウクライナ兵士、95名を含めた144名、最低でも144名をウクライナ側に捕虜の交換ということで引き渡しました。
戦いが続いていく中で捕虜の交換という比較的、停戦・休戦の兆候を見せるワンステップが確認されました。
ウクライナは兵力としてはロシアの5分の1以下でしたが、国民の士気そして周辺国からの軍事的な支援、さらにはロシアに対する経済制裁など、さまざまな圧力によって4か月以上、もう5か月目を迎える戦いを耐え抜いてきました(6月末に撮影された)。
ゼレンスキー大統領は世界に向けてこう言いました。
「ウクライナ国民、暮らしているウクライナという領土の中を、いかなる状況であっても、ウクライナ国民が暮らしている限り大統領としてロシアに一部割譲することはありません」
それは今ロシア側が占領下においた東部ドンバス地方、南部クリミア半島、東南部のマリウポリ、このロシアが抑えた地域をロシアに引き渡すことはしないと宣戦布告しています。……続きはフルバージョンで✅
👇毎配信をまとめて視聴は以下より👇 (今回の動画は5月23日に撮影しました)
「戦場」の真実をどのくらいの人が理解しているか。戦場にある悲惨な現実。犠牲になるのは子どもたち。一方で、戦場にいる人々は「私たちと同じ」日常を持っている。これも「戦場の本当の姿」――。戦場カメラマン渡部陽一が撮ってきた写真の中から、1000枚をピックアップ。写真とともにその背景を知る。「戦場の真実」と「世界の本当」を学ぶ。
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