注目の好カード、前半に注目の理由とは?
――今回はピッチレベルラボの特別編として、週末に岩政さんも解説するフロンターレと鹿島の一戦があるのでプレビューとして配信をさせて頂きたいと思います。岩政さんよろしくお願いします。
岩政 よろしくお願いします。
――相馬さんになられてから色々変化はあったと思うんですけど、何より結果が大きく変わりました。メルマガにもその要因は書いて頂きましたけど簡単に相馬さん以降の総括して頂くとどういう風に見られてますか。
岩政 チーム全体が息を吹き返したというのが、結果という面では素晴らしいですし、上手くここまでは運べたかなというのは思います。
(今のサッカースタイルについて)「結局は原点回帰か」とか「(原点回帰ではなくて)これは新たなスタートなんだ」とか色々な見方があると思いますけど、個人的には原点回帰の意味合いが強いなという風に見ています。差し戻されたなという感覚が個人的には強い。
「新しい鹿島」として、ザーゴから踏み出したところからストーリーとしては……まあこれから繋げて考えていくんだろうとは思いますが……後戻りしたとは思わないですけど、鹿島が今とりあえず目の前で結果が出せる戦いに戻してきたという考え方から行くと、原点回帰。もともと鹿島は抱えている選手の良さを引き出して、その選手たちの感覚的なものを重視するようなところがあったので、それをチームとしての形……形というのもサッカーの場合色々な捉え方があるので難しいですけど、今いる選手たちの良さというよりもザーゴさんの場合は形を作ってそれに選手が適応していくという作り方をして、その時間を待ったんでしょうけど待ちきれずに相馬さんになって。
やっぱり三竿とかそうですし、センターバックとかもそうですし他の選手も含めた「良さ」、今とりあえずやれるところからチームが作られているので、チーム作りとしては早くて結果に繋がりましたし、心地よいんだろうなとは思います。
――「原点回帰」の原点の部分について、鹿島は「(4₋4₋2をベースとしたシステムやジーコイズムなどを含めて)変わらない」と言われますが、「変わっている」というのが岩政さんが常々指摘していた部分でした。その中のキーワードのひとつにもともと鹿島は「人から掴みに行く」というのがあってその危険性を指摘されていました。しかし(そうではない)ザーゴさんになって(どうなるか)という流れだったのですが解任。ここで、原点回帰というのは「人から掴みに行く」という所にもう一度立ち戻りつつあるところなんですか?
岩政 いや守備において実はそうではなくて、――これは全部想像なんですが、相馬さんは全て基本的にはゾーンだと思います。これはこれまでの鹿島の監督さんの傾向の中では少ない監督さんのタイプですね。
今だから言いますけど、僕がいた頃の鹿島は僕自身が中心メンバーになれた後には基本的にはゾーンの考え方をチームに指示を出すことで少しずつ、「基本的には守るべきスペースから消してそこから人を摑まえる」という考え方でやっていた。
それがセレーゾになって昌子や植田が出てきて彼らは監督含めて人から(摑まえる)というのがあって。そこから石井さんも(大岩)剛さんも大きく変えずに来ましたので、人への意識がかなり強くなって、空いてしまうスペースはあるけれども、そこは目をつぶってでも「人にやられなければいいじゃん」という考え方でした。
それも一つのやり方なんで全然良いと思いますけど、それを相馬さんは変えてきたと思います。基本的にゾーンというか、ゾーンという言い方は時代的にあれですけどね。感覚的にはまず危険なスペースを誰が埋めるかというのを考えて、その中で人を摑まえていくという考え方にまず移行したと思います。移行したんですが、チームが後ろに軸足を置いて現実的な戦いから入って勝ち点を拾っていって少しずつ好転してきて、攻撃の流れも良くなってきたと。
この流れの中で守備も少しずつハイプレス側に移行してきて、ハイプレスに行くということは結局ゾーンで構えていたって間に立たれたら取れるわけがないので、ハイプレスに移行した段階で他人への意識が強くいかなければいけない。
強くなったところを外され始めると4-4-2のゾーンにおいて前線が高い位置で人を摑まえに行くけど後ろがズレてるということになると合わなくなるんで、また人への意識が強まりつつあるという。それ自体は悪くないんだけど、それによって生まれるズレをどうやって解消していくのかという所まではまだ及んでいないという所です。
これをどうするかなんですけど、それを一個ずつやり始めると戦術的なものが入ってきてちょっと流れが良くなっていたいわゆるストーミング系のコンパクトにとりあえず攻守ともに数的優位を作って攻めて守ってを繰り返していくよというのを迷いなくやっていたのが、少しづつ戦術的なことが入ると迷いが入ってくるはずなんで、こうなると勢いが削がれる可能性があるので、それを相馬さんがあえて提示せずに自分たちはこれで行くよと押し通すのか、ちょっと戦術的なものをチームにバリエーションとして使っていくのか、ここはちょっと見どころになってきますね。
――今の時代可変システムというのがあると思いますが、4-4-2という鹿島の一つの形がある中で、ちょっと分かりやすいのかなと思ったのが、名古屋と横浜Fマリノスには勝って前節鳥栖には負けて、可変があるにせよ(守備陣を)4枚で作ってくるチームにはなんとか対応ができたと、鳥栖みたいに3(ないし5)枚で来るチームには逆転負けを喫したみたいな所で今のシステムのかみ合わせとかズレみたいなところは修正力の問題になったりするということですか。
岩政 小さいボードでやりますね。……(3分)