WBC日本代表の辞退が発表された鈴木誠也。「SEIYA’S BATTING REPORT」でも繰り返し語ってきたように、WBCそして今シーズンに掛ける思いは相当なものだった。
そのキーワードが「33.5インチ」だ。
「SEIYA’S BATTING REPORT」の新コンテンツ「データと誠也」では、広島東洋カープ入団1年目から鈴木誠也選手の取材を続けてきた前原淳氏のレポート「データと誠也」を毎月配信する。
今回はオフ取材で見た鈴木誠也選手の新しい取り組みについて。2023年に侍ジャパンでその姿を見ることは叶わなかったが、シーズンにおいてその成果が発揮されることを願うばかりだ。
鈴木誠也「打てなくなるのは分かっていた」
鈴木誠也が鈴木誠也を超えなかったシーズンは記憶がない。
右足首を骨折した2017年。新型コロナウイルス感染拡大によって開幕延期や無観客となった2020年のような不測のシーズンを除けば、常に鈴木は自分を超えてきたように思う。
ただ、日本から米国へ渡った2022年は違った。
ロックアウトの影響で契約が遅れ、十分な準備期間もなく迎えた開幕。敵地への移動だけで時差が生じることもあり、練習時間も思うように取れない。食事も習慣も、野球観も、まったく違った。
【👆当時の思いを激白した参考動画「日本人バッターにあって、マチャド、アロンソにないもの」】
開幕から10試合で打率.429、4本塁打、11打点という好スタートにも、手応えはなかった。
「いずれ(打てなくなるときが)来るのは分かっていた」。
日本と比べ、投手の平均球速は高く、100 マイル を投じる投手もゴロゴロいる。スピード感のギャップに加え、投げ方や特徴がそれぞれ異なる。日本野球にあった〝間〟のない戦いに戸惑った。
そんな米国基準に適応することだけでなく、自身のコンディションが整わない時期もあった。
シーズンに向けた準備不足に、食文化の違いからシーズン後に体重が減少。左薬指の負傷で5月下旬から約1カ月戦列を離れ、シーズン終盤にも左手首付近への死球があった。
111試合出場で、打率.262、14本塁打、46打点、OPS.770。
「レベルの違いを感じました。数字的にも妥当」。
米国での現在地を思い知らされた。納得できる数字ではないが、素直に受け入れることはできている。...