広島東洋カープ入団1年目から鈴木誠也選手の取材を続けてきた前原淳氏のレポート「データと誠也」の第二回。
WBC辞退でシーズンへのより強い思いを持って突き進む鈴木誠也選手(https://www.synchronous.jp/articles/-/877)。
昨シーズンを上回る成績を残すためにキーとなる数字を紹介する。
SEIYA’S PICK UP DATA→「178打席」
思わぬアクシデントにより、辞退せざるを得なかったWBC。侍ジャパンが戦い続けるなかで、鈴木誠也の胸中を推し量ることは誰にもできない。
「SEIYA’S BATTING REPORT」(シンクロナス)を通じて、ファンに向けたコメントからは、前回とは違ったWBC出場への強い思い、野球界の未来を照らす使命感が感じられた。
だからこそ、世界一に向けて戦う侍ジャパンの中に鈴木の姿がないことにどこか寂しさを感じてしまう。
それでも、コメント終盤にある「でも、後悔はしていません。うまくなるためにしっかりと考えてやってきたことです。この悔しさを力に変えて、もっとうまくなってやりたいと思っています」に鈴木誠也たるゆえん、「強さ」を感じる。
悔しさはあっても、後悔はない――。
自分が定めた目標地点まで、愚直に突き進む力強さが、今の鈴木をつくり上げている。
WBC後に控えるメジャー2年目のシーズンに期待せずにはいられない。
鈴木誠也「同じ野球でも、180度違う」
未知の世界に飛び込んだ昨シーズンとは違い、今年の鈴木には「1年目の経験」がある。春先の寒暖差に時差が生じる移動、試合までのルーティン。食生活や野球観の違いにストレスを感じることもあった。
本人は否定するだろうが、ロックアウトの影響で契約が遅れ、万全の準備ができなかったことも大きく響いただろう。
「同じ野球でも、180度違う」
環境の変化だけでなく、初めて肌で感じたメジャーリーグのレベルの高さにも驚かされた。
100 マイル 超の投手も珍しくなく、長いリーチから繰り出されるシンカーやカットボールなど打者の手元で変化する球種も多様。
日本ではばらつきがあると思われがちな制球も、メジャーに定着するような投手は精度も高い。投球フォームも個性的で、日本のような「〝間〟がないと感じた」と話す。
戸惑いがあったのかもしれない。昨シーズンの途中まで「プレーに集中できていない」ように感じた打席がいくつもあった。
カープ時代には見られなかったシーンだった。
NPBでプレーをする鈴木は、打席で隙を作らない。
投球間の仕草は象徴的だ。
「緩んだ感じがする」とほぼ1球ごとにバッティンググローブのバントを締め直し、...