広島東洋カープ入団1年目から鈴木誠也選手の取材を続けてきた前原淳氏のレポート「データと誠也」の第五回。
第一回 「33.5インチ」/秘められた2023シーズンの思い
第二回 「178打席」/吐露した苦悩……「振れたらいいのに」
第三回 「31人→176人」/メジャー2年目の覚醒に不可避な対応とは?
第四回 メジャー屈指「大谷超え」のスピード、ホームランが増え始めた秘密
SEIYA’S PICK UP DATA→「92.8 マイル」
6月に入り、鈴木誠也は首の張りによる休養やヒットのない試合が続くなど苦戦しているが、チームは7連勝など夏場以降のポストシーズン争いに向けて上位争いを狙える位置につけている。
その鈴木、6月30日時点で打率.253、6本塁打、26打点、1盗塁、出塁率.338、長打率.397、OPS.736。主な打撃成績を比較すると、昨シーズンの打撃成績に近い数字が並ぶ。
昨シーズンは111試合で打率.262、14本塁打、46打点、9盗塁、出塁率.336、長打率.433、OPS.770だった。
今シーズンの成績の中でやや下降傾向にあるのが、長打率だ。
本塁打は、5月23日メッツ戦の6号から24試合、出ていない。昨年も負傷離脱するまで32試合連続ノーアーチだったことがある(復帰初戦の7月4日ブルワーズ戦で33試合ぶり本塁打を記録)。
鈴木の覚醒はあるのか。
もともと新たなことを取り入れながら打撃をつくり上げていくスタイルである。
調律師のような繊細な微調整を施す一方で、解体師のように大胆なフォーム改造もいとわない。そんなアプローチで打撃道を突き進んでいるからこそ、シーズンの中に浮き沈みがあった。
それはNPB時代と変わらない。
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