広島東洋カープ入団1年目から鈴木誠也選手の取材を続けてきた前原淳氏のレポート「データと誠也」の第四回。
第一回 「33.5インチ」/秘められた2023シーズンの思い
第二回 「178打席」/吐露した苦悩……「振れたらいいのに」
第三回. 「31人→176人」/メジャー2年目の覚醒に不可避な対応とは?
SEIYA’S PICK UP DATA→「50%」
左脇腹痛や111打席ホームランなしと、不安要素が多く指摘された23年シーズン。
それでも鈴木誠也は5月26日までに36試合に出場し、打率.285、6本塁打、19打点、長打率.500、OPS.873と成績を上げてきた。
好スタートを切った昨シーズンの同じ出場試合数と比較しても、その数字を上回る(2022シーズンは36試合・打率.246・6本塁打・19打点)。
目に見える数字だけではない。鈴木誠也ファンにとってはうれしい「メジャートップクラス」のデータも多くある。
特筆すべきは「hardhit%の50%」(以下5月25日現在)だろう。
95 マイル (約153㌔)超の打球速度を打った割合を示すもので、日本では聞き慣れない指標ではあるが、メジャーリーグは注目されるデータの一つだ。
鈴木の50%はMLB全体で31位の成績であり、エンゼルス大谷翔平の48.6(40位)らを上回る。
自身の昨シーズンの数字41.3%を大きく上回り、全打球の半分のスイングは力強い打球を打ち返せていることになる。
これは不調と言われたシーズン序盤から示されていた数字だ。
「メジャーでも負けないパワー」をひとつの目標にシーズンオフの改革に取り組んだ成果があったと言える。
一方で課題もあった。
打球速度が上がることで長打が増すとされる中、4月の鈴木は長打がわずか4本にとどまった。その理由は「打球角度」にある。
4月23日ドジャース戦から29日マーリンズ戦までの6試合で三振以外で凡退した16アウトのうち11個がゴロアウトだったように、4月はゴロ打球の割合は48.8%。打球が上がらない打席が続いた。
それを示すデータは...