サッカージャーナリストのミムラユウスケ氏、田村修一氏、木崎伸也氏を中心に、サッカー解説者・林陵平氏、おこしやす京都ACの分析官・龍岡歩氏らに取材、日本代表のアジアカップでの戦いを全6回10企画に渡って配信する「日本サッカー徹底検証#5 アジアカップ特集」。

 今回は、現地で取材するミムラユウスケ氏と田村修一氏の2人に、アジアカップ初戦ベトナム戦で見えた「森保ジャパンの急所」を考察してもらった。

 ベトナム戦は、一時はリードを許すなどまさかの展開となった。なぜ日本は苦戦したのか。その原因と日本代表の弱点との関係性はーー。

 サッカージャーナリストによるダブル考察の第二弾、田村修一氏のレポートをお届けする。

予想と違うことをしてきたときの対応

 日本のアジアカップ初戦は予想外の展開となった。

【アジアカップ グループD 第1戦】
 2024年1月14日(日)20:30(日本時間)/アルトゥママ・スタジアム
 日本           4-2      ベトナム
(FIFAランキング17位)        (FIFAランキング94位)
【得点】
日本:南野(11分、45分)、中村(45+4分)、上田(85分)
ベトナム:グエン・ディン・バク(16分)、ファム・トゥアン・ハイ(33分)
【警告】日本:菅原(32分) ベトナム:なし【退場】なし
【シュート】16:6(枠内7:3)【ボール支配率】59%:41%【パス】741:533(成功率86%:81%)【ファウル】13:7【オフサイド】3:1
 
日本<4-2-3-1>
【GK】23鈴木 【DF】2菅原(77分16毎熊)、4板倉、3谷口、21伊藤 【MF】6遠藤、5守田(77分26佐野)、14伊東、8南野(84分20久保)、13中村(63分10堂安) 【FW】11細谷(HT9上田)
ベトナム<5-4-1>
【GK】1アイン・グエン・フィリップ 【DF】7ファム・スアン・マイン(78分)、6グエン・タイン・ビン、20プイ・ホアン・ベト、12ファン・トゥアン・アイン・タイ、3ウィー・ミン・チェン(64分22クァット・ヴァン・カン)【MF】8ド・フン・ドゥン、16グエン・タイ・ソン、11グエン・トゥアン・アイン(HT25レ・ファム・タン・ロン)、15グエン・ティン・バック(64分グエン・バン・ディオン)【FW】10ファン・トゥアン・ハイ
寸評
日本は11分に南野拓実のゴールで先制。16分と33分にセットプレーから2失点し、一時リードを許す。その後、45分に南野のシュートで同点にし、4分後に中村敬斗のミドルで勝ち越しに成功。85分には途中出場の上田綺世が久保建英のアシストから4点目を決めて白星スタートを飾った。

 フィリップ・トルシエ監督のもとベトナムは、高いラインで守備ブロックを敷き、ボールを保持する日本に圧力をかけた。

 ベトナムが引いて守るであろうと踏んでいた日本にとっては、予想外の事態であったかも知れない。だが、高いラインで守備ブロックを形成しコントロールするのがフラット3であり、個の力やチーム力では劣る格上の相手にも組織の力で守れるというトルシエ哲学の真骨頂でもある。

 そこに日本はまんまとハマった。

 ただ、相手の守備ブロックがどうであれ、いつものように強度の高いパスをスピーディに回せばブロックを崩すことは可能だった。

 それができなかったのは、選手の対応力に問題があったのか、それとももっと別の要因が絡んでいたのか……。...