相手に論点が伝わらない、意図せずだらだらと話してしまう…。そんな悩みを持つ「話し下手」の人は多いのではないでしょうか?
そこで『世界最高の話し方』 『世界最高の雑談力』の著者で、社長や企業幹部1000人以上の話し方を変えたという伝説の家庭教師・岡本純子さんに、プレゼンや職場内のコミュニケーション、就職・転職の面接に役立つ「自己紹介」術、そして簡潔に自分の考えを伝えるトークの技法についてお話しいただいた。
(本稿は動画『「話し下手は損をする?」スキルで上げるトーク力』を編集した後編)
面接でどう話せばいい?「自己紹介の方程式」とは
−− 終身雇用の時代から “大転職時代” に移り変わっている今、話し方のスキルは転職活動にも役立つのでしょうか?
コミュニケーションはひとつの “科学” なので、さまざまな学問や知識に則った正解があります。
なので、転職活動における“面接” などの問題にも、自らの魅力を伝える「自己紹介の方程式」があるんです。
まず、自己紹介をする時は「現在・過去・未来」の3つの構成に分けて、自分の強みを端的に説明するようにしましょう。
「現在」の話をする時は、2つのセンテンスにまとめる。「I am(私は〜です)」と「I do(私は〜しています)」に集約して説明することで、自分が何者なのかをわかりやすく伝えることができます。
たとえば、最初に「私は、話し方を教える家庭教師です」と、自らの“キャッチコピー” を一言で伝えると、その人が誰なのかを結論から話すことができますよね。
そのあとに、「私は企業の社長が問題解決できる話し方を教えています」と順に話せば、聞いている人の頭にロジカルに入っていきます。
次に「過去」の話として、具体的な事例を紹介していく。
「私は、人前で話すのが苦手だったので、アメリカにある話し方のワークショップに通い、さまざまな話し方のスキルを身につけました」など。
「シチュエーション→ 行動 →インパクト」や「シチュエーション →タスク →行動→結果」と、流れに沿って人生のハイライトを説明することで、最後まで相手に話を聞いてもらえるようになります。
そして、最後に「未来」のことについて話す。就活の面接官は、 “志願者が会社のためになにをしてくれるのか”を、一番に聞きたがっているはずです。
だからこそ、面接官に「What I can do FOR YOU(私はあなたにためになにができるか)」をしっかりと力説してください。
「私は英語が得意なので、御社のグローバル展開に貢献できます」など、自分を雇用する会社側のメリットを伝えると、より自分の強みをアピールできるようになりますよね。
もちろん、このやり方が必ずしも正解ということではありません。また、仕事以外での場面で使っていまうと、相手に“偉そう” という印象を与える可能性があります。
しかし、面接の場で使うのであれば、最も効果的なやり方なので、次のステップに進むツールとして、ぜひ就活に役立ててみてください。
だらだら話さない!“おみくじ話法”でスムーズな対話を
−− 転職先の企業で良い結果を残すことができる、話し方のテクニックはあり
ますか?
これは仕事に限った話ではないのですが、人前で話をする時は “おみくじ話法”を心がけると、良い結果に繋がりやすくなると思います。
日本人はどうしても結論が後回しになってしまう。いつまでも伝えたいことの本筋が見えないまま、だらだらと説明を続ける “あみだくじ話法” で話す方が本当に多い。
一方で、「大吉」や「大凶」などの運勢が一目でわかる“おみくじ”のように、自分の伝えたいことのキーメッセージ(KM)を冒頭で示してから、その理由や具体例などを順に説明した方が、相手にわかりやすく伝えることができます。
また、結論を先に話す“おみくじ話法” には、主に3つの形態があるといわれていて。この3つの形態さえ覚えておけば、ほぼすべての場面でスムーズに話ができるはずです。
まず自分が伝えたいことを最初に打ち出してから、なぜそれが必要なのかという理由や身近な具体例を示していく。そうすることで、自らの主張をロジカルかつコンパクトに訴えることができます。
2、PESO話法【KM→問題 →理由 →解決法→KM】
これは “問題解決話法” とも呼ばれていて、ある問題に対してどのような原因が考えられるか、それをどう解決していくのかを順に説明します。アメリカ大統領のスピーチやテレビの通販番組などでよく使われているやり方です。
3、3Points話法【KM→ポイント →ポイント →ポイント→KM】
会社のプレゼンテーションなどで、「大切なポイントが3つあります」というフレーズをよく耳にしますよね。実は、人間は要点を3つにまとめることで内容が覚えやすくなるんです。なので、伝えたいポイントは明確にしましょう。
スピーチは“ 即興でやるもの” と思っている方が多くいますが、実はスピーチは “準備が9割 ”だといわれています。
アメリカの文豪であるマーク・トウェインでさえも、「即興のスピーチを作るのに3週間以上かかる」という言葉を残しているくらい、上手いスピーチにはそれだけの準備が欠かせません。
だからこそ、さまざまな話し方のパターンを覚えておくだけで、どんな質問に対して適切な返答をすることができる。いつも頭の中で反復練習をしておくことで、急に人前で話すことになっても落ち着いて話ができるはずです。(文・坂本遼佑)