本物のオーガニックは人・動物・植物すべての命を幸せにする
レムケさんによると本物のオーガニックには4つのルールが存在するという。そのルールは、IFOAM(国際有機農業運動連盟)という国際組織が提唱しているもの。日本の有機JASはコーデックスガイドライン(世界的な食品規格)に準拠して定められたが、そのガイドラインもまたIFOAMに法って策定されたという背景がある。そんなIFOAMの定義に沿ったものこそ真のオーガニックと言えるのだという。
①健康のルール
〈土・水・動植物・地球そして人の健康は、個々別々に分けて考えてはならない〉
「人が健康であろうと思ったら、人の食料になる動植物が健康でなければならない、動植物が健康であろうと思ったら、その住んでいる環境である土や水、空気が健康でなければ成り立たない。要は私たちが健康であろうと思ったら、まわりのものすべてが健康でないと“真の健康”は成り立たないということ。オーガニックの世界では、何かの・誰かの健康を脅かすものをできるだけ使わないということが徹底されています。それはつまり、化学肥料・合成農薬・薬品・合成添加物などをできるだけ使用しないことなどが挙げられます」
②生態系のルール
〈農業の営みは自然に逆らうのではなく、地域の生態系や自然に備わった力を活用する〉
「現行の近代農業の場合、自然に逆い生態系のバランスを崩してしまっていることが大半です。有機農業では、資源を生態系の中でできるだけ循環させ、農場内や地域で育った動物の排泄物を肥料として使ったり、もともとその地域にあった在来種を育てたりするなど、地球や自然が持つ力を最大限に生かすことこそ大事だと定義されています」
③公正のルール
〈地球環境や生きとし生けるものすべてが平等に尊重され、自然体であれる状態を保つ〉
「労働力が足りないから、そして安価だからという理由で、子供達の教育の機会を奪ったり、貧困層から搾取してはならない。そして家畜だからといって動物を粗末に扱ってはいけない。認証を取得したオーガニックコスメでは動物実験が禁止されているんですが、すべての人や動物が、その人らしく、その動物らしくいられることを意味しています。また、今生きている私たちだけでなく、まだ生まれていない次世代にも美しい自然や尊い命を残していこうと考えられています」
④配慮のルール
〈予防原則に基づき他の健康や幸福を脅かさない、皆がよりよく生きられる技術を活用する〉
「遺伝子組み換え技術のように、何がもたらされるかまだ不明だと危惧されている予測不可能な技術は使用しない。遺伝子組み換えの発ガン性を指摘する科学者もいますが、もしかしたらさらに地球や人類にとって良くないことがあるかもしれない。後世の人々の健康や幸福を脅かすのではなくて、予防原則に基づいてみんながよりよく生きられると現時点でわかっている技術だけを使用していこうというルールです」