街を歩いていると、不意に耳に入ってくる言葉がある。誰かの会話、カフェのBGM、看板の文字。芸人・鈴木ジェロニモが、日常の中で出会った“ちょっと気になる言葉”に耳をすませて、思考を巡らせます。

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【過去の記事を読む】鈴木ジェロニモの「耳の音」 記事一覧

 

「コミふら馬橋文化祭2026」という、杉並区の地域イベントの中のお笑いライブに出演した。コミュニティふらっと馬橋は高円寺にあるコミュニティセンターで、そこの多目的室が会場だった。

 近くの小学校の教室が楽屋。来賓用のスリッパを履いて、廊下の掲示物や蛇口が気持ち低めに設計された構造を2階へ進む。共演する芸人仲間が何組かいて、おざっすー、と挨拶しながら着替え、今日お客さんってどんな感じ、という会話に入ったり抜けたりしながらなんとなく、普段出ているライブとは違うであろう雰囲気にどうアジャストしようかそれぞれ思案する。

 会場の多目的室。入り口横のホワイトボードに隠れるように、ぎちぎち肩を寄せ合って待機していると、こんにちはー、とお子様が結構いらっしゃる。こんにちはー。こんにちはー。あらあら、本当に結構。20人ほどだろうか。地域のお祭り的な、とは聞いていたが、思いのほかお子様中心の客席状況だ。開演前から子どもたちが芸人の待機場所に駆け寄ってきて「太っちょ! 細っちょ!」とあだ名を付けて去っていく。親と近い年齢なのにカラフルなスーツを着て髭が生えていたり髪が長かったり肌つやに恵まれていたりする謎の集団。興味と恐怖が半々の表情に私たちは、そうだよね、とにこにこ思う。

 開演。オープニングで全員出ていくと子どもたちがわいわい盛り上がってくれる。「さっきのやつやって!」「このひと変な顔してた!」。それをいなすというよりはむしろ大いに借りる形で、客席と舞台があたためられる。今日はネタ間違えないようにとかじゃなくてもうそういう日だ、と全員がいい意味で割り切って、それぞれのネタへ。

 私は先週のずとまよさんのフェスでの経験をいいことに〈説明〉で乗り切ろうと試みる。みんなHIKAKINさん知ってるよね。HIKAKINさんがいいねしてくれた動画があって。「えー!」。今日は水の味を説明します。「なんでー?」「意味ないよー」。え、まあ確かに。「水の味を説明するのって、変だよー」。...