広島東洋カープ入団1年目から鈴木誠也選手の取材を続けてきた前原淳氏のレポート「データと誠也」の第三回。
第一回 「33.5インチ」/秘められた2023シーズンの思い
第二回 「178打席」/吐露した苦悩……「振れたらいいのに」
SEIYA’S PICK UP DATA→「31人→176人」
鈴木誠也のメジャー2年目が幕を開け、2週間が過ぎた。
スプリングトレーニング終盤に左脇腹を痛めて出遅れたものの、マイナーリーグでの調整試合をへて、4月15日(現地時間14日)ドジャース戦からメジャーに合流。
自身開幕戦となった8回の4打席目に今季初安打が生まれた。
テイクバックをほとんどとらないように見える「新フォーム」から2番手ジャクソンの内角高め98 マイル を捉えると、球威に押されることなく、むしろ押し返すように振り抜くと、打球は復活の軌道を描くドジャースタジアムの左翼席に突き刺さった。
昨シーズン終盤からメジャー仕様の打撃フォームに着手し、オフには効率アップのため肉体改造に取り組んだ。
メジャーの強く速く、手元で変化する球に対応するために取り組んだ試行錯誤は、思わぬアクシデントで15日遅れたが、復帰初日に初安打初本塁打という結果で滑り出すことができた。
ただ、メジャーはそう簡単ではない。
西海岸遠征最初のドジャース3連戦で対戦した全8投手のうち、先発3投手を含め5投手が初対戦の投手。
メジャーリーグ2年目であっても、競争と入れ替えが激しい最高峰の舞台では、今年も初見の投手との対戦を覚悟しなければいけないようだ。
176人。
海を渡った昨季、鈴木が対戦した投手の数だ。メジャー1年目。当然、すべての投手が初対戦だった。...