広島東洋カープ入団1年目から鈴木誠也選手の取材を続けてきた前原淳氏のレポート「データと誠也」の第六回。
第一回 「33.5インチ」/秘められた2023シーズンの思い
第二回 「178打席」/吐露した苦悩……「振れたらいいのに」
第三回 「31人→176人」/メジャー2年目の覚醒に不可避な対応とは?
第四回 メジャー屈指「大谷超え」のスピード、ホームランが増え始めた秘密
第五回 鈴木誠也、なぜ打撃に浮き沈みが生まれるのか?
SEIYA’S PICK UP DATA→「59%」
前半戦を6戦連続安打で締め、後半戦に入ってもコンスタントに安打が出るなど上向き傾向にみえる。6月まで3度だった猛打賞は7月だけで3度マークと、打率も上向いてきている。
今後も打撃フォームや体の使い方を試行錯誤していくのだろうが、後半戦ではアプローチの変化がスイング率に見てとれる。
【スイング率】打席に入って投じられたストライク数に対してバットを振った回数がどのくらいだったかを示す。
59%。
6割に迫るスイング率は、鈴木としては高い数値だ。
以下の表を見てもらいたい。安打や凡打などバットに当てた打撃結果を除くストライクゾーンの結果を示したものだ。
5月と比べると、後半戦の見逃し率は1割も減り、スイング率が10%超上がっている。その結果、見逃し三振も後半戦は2度。7月の月間見逃し三振の数4度は、15試合にしか出場していない4月と同数だ。
7月17日に公開されたシンクロナス【SEIYAS BATTING REPORT(GMに言われた「二重人格になってくれ」)】で口にした打席内での精神状態の変化もあるかもしれない。
とはいえ、ストライク、ボールをきっちり見極める選球眼は鈴木の武器のひとつでもある。
全体的に見逃し数が多いのは、もともと好球必打のスタイルを貫いてきたからだ、といえる。...