こうしてプロ野球でメシを食っていけるという状況を作ってくれた先輩たちに感謝して、我々には、それを次の世代に渡す義務がある。
少子化の問題もあって、野球をやる子どもたちは減っているけど、もっともっと夢のあるプロ野球にするため、まだまだ頑張れることはいっぱいある。
いろいろな特長を持った子が、プロ野球の世界に向かってきてくれる、勝負にきてくれることには、この上ない喜びを感じる。自分が子どもの頃、プロ野球選手になりたいと思ったのと同じ夢を持ってくれた子たちが、本当にそこまでレベルを上げて、勝負にきてくれるというのがすごく嬉しい。
とにかく選手たちをキラキラさせてやりたい。優勝する年の選手たちは、みんなキラキラしていて格好いい。たとえば、最近のカープを見ていると、本当にみんなが輝いて見える。
やっぱり歴史は繰り返していて、次の世代にも良い選手がいたからこそ、その歴史はつながっている。歴史がつながっているというのは、次の世代にもっと能力の高い選手が必ずいるという証明なので、それを信じてみんな前に進んでいる。野球ファンにとっても、それ以上のことはないし、自分はその手伝いがしたいと思うだけだ。
振り返ってみれば、まだ何一つ、星野さんには恩返しができてい
ない。
いつかまた必ず「クリ、ちゃんとやったんか!」と言われると思うので、そのときには「はい!」と答えられるよう、これからも命がけでやるだけだ。
(『監督の財産』収録「6 稚心を去る」より。執筆は2019年1月)