いつもシンクロナスをご覧いただきありがとうございます。シンクロ通信日曜日担当の望月です。
アニメが好きなのですが 『キノの旅』(原作『キノの旅 -the Beautiful World-』・時雨沢恵一)という物語がお気に入りで、定期的に観てしまいます。(アニメの正式名称は『キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series』)。
この物語は主人公キノと言葉を喋る二輪車のエルメスが様々な特徴を持った国を旅をして、その国の人と交流したり、事件に巻き込まれたりするというお話です。
『キノの旅』の中で特に好きな話は「人を殺すことができる国」というエピソードです。
殺人が罪であることは誰もが知るところで、実際に現在の日本の法律では刑罰の対象になっています(刑法第199条)。他方で『キノの旅』に登場する「人を殺すことができる国」はそんな私たちの常識とは対照的に殺人が禁止されていないという異様な国家です。
このエピソードを通して私はいつも「ルール」と「人の気持ち」について考えさせられます。
ルールに定められているからやってはいけないのか、禁止されてなければ何をしてもいいのか。もっと日常的に言うと、怒られなければ何をしてもいいのか——。
自戒ですが、人間関係において、相手が拒絶しない・怒らない=許していると判断しがちです。 「いいよ」と許してくれていることに甘えて無理をお願いしてしまったり、嫌な思いをさせてしまったと思う過去の反省が個人的に多すぎます。
なので、その人の 「いいよ」を本当に受け取っていいのか、全然できていないけど、出来る限り考えていきたいと思うし、忘れそうなときに『キノの旅』を観ています。
一方で、相手が拒絶しない・怒らない=許していると判断し行動することを、ある種「賢い」処世術とする論調や行動を目にし、その方が生きやすそうという憧れと、やはり気分の悪いという信念の間でいまだに揺れ動いてしまいます。
そんな処世術は自分が知らないだけで「清濁併せ呑む」以前の「あたりまえ」で、考えていること自体が青臭さの表れなのかもしれないと思いつつ、今のところはまだまだ受け入れがたい日常風景となっています。
余談ですが、本日2024年12月8日はJリーグの最終節。
2連覇を狙うヴィッセル神戸、夏に主力が抜けながらも奮戦したサンフレッチェ広島、J1初昇格の年に優勝の快挙がかかるFC町田ゼルビアが2024年の覇者の座をかけて最終戦に挑みます。
今年のJリーグの大きなトピックにFC町田ゼルビアの「ボールへの水かけ」問題があります。今回の通信のテーマと同様に「ボールへの水かけ」は競技規則に記載がない行為で、そのためにネットを中心に賛否が分かれました。
禁止されていない行為は許されるのか。ルール、選手や監督の気持ち、スポーツマンシップ、審判の判断、サポーター心理など多様な思いが入り混じる「ボールへの水かけ」問題は、2024年日本サッカーのハイライトの1つだったように思います。