心のもやもやした感情を楽にする「再評価」という心理的方法。今回は、子育てをする中でイライラしてしまった時にどう「再評価」をして、自分と向き合うのか――。精神科医の内田舞さんが、脳科学や進化の視点からその理由をひも解きます。
子どもの食わず嫌いは進化の過程で絶対起こること
――せっかく料理を作っても、子どもに「いらない」と言われるとイライラしてしまうもの。そんな時こそ、「なんで食べてくれないの?」とイライラする前に、子どもの味覚の仕組みを知ると気持ちが少しラクになる、と精神科医の内田舞先生は言います。
ベッキー 料理を作ったのに、拒否されちゃう・・・これ経験あるなぁ。
内田先生 私も長男以外は全然野菜を食べませんよ。ブロッコリーがやっとです(笑)。食べないとわかっていると、作る気もなくなりますよね。

ベッキー そうなるとまた自分を責めちゃうんですね。「私は母親としてひどいんじゃないか」「野菜1個しか出してないぞ」みたいな(笑)。
内田先生 生物学的な視点で考えると、人間の味覚は成長するにつれて細胞レベルで変化します。
特に子ども時代は、成長のためにたんぱく質と糖分が必要で、それらを求めるのは旧石器時代から脳にプログラムされているものなんです。
だから子どものうちはお肉、お米、パンといった炭水化物、そしてお菓子が大好きなんですよ。
今の食生活と昔の食事はもちろん違うけれど、その時代から生きるために必要な要素であることは、いまだに私たちの脳にプログラムされているというのが現実です。
ベッキー なるほど! 今と昔で食生活は違っても、そのプログラムは変わっていないんですね。
内田先生 そうなんです。それに苦い野菜を嫌がるのは、進化の過程で「苦いもの=腐敗や毒の可能性がある」と脳が判断しているから。
これは私たち人間が進化の過程で築かれた機能であり、子どもが体現しているわけなので、子どもに好き嫌いがあるのは当然で、実は怒っても仕方がないことなんですよね。
だから、せっかくだした自分の料理を子どもに否定されたとしても、進化の過程で培った機能が反応しているだけなんだよって考えてもいいんです。
ベッキー そうやって脳のシステムを理解すると、ちょっと心が楽になりますね。脳レベルでもう決まっちゃってることだから。
内田先生 そうですね。もちろん個人差はあります。強く拒否する子もいれば、なんとか食べられる子もいるし、全然平気な子もいます。
子育てのイライラを減らすシンプルな考え方
――内田先生は子どもと関わっていくなかで、自分は否定されていると思わないことが重要、と指摘します。
内田先生 例えば、「片付けしなさい」と言っても子どもがしなかったとき、「私への敬意が足りないんじゃないか」とイライラしてしまうことってありますよね。
でも、実は子どもはただ「今やってることが楽しいから」「片付け自体が嫌だから」やらないだけなんです。私への敬意とは無関係なんですよ。
ベッキー 確かに、大人の方が複雑に考えすぎちゃうかもしれないです。
子どもはただ「やりたくない」だけなのに、私たちが勝手に「敬意が足りない」と思い込んじゃう。
内田先生 そうなんです。だからこそ、ちょっと深呼吸して立ち止まり、「この感情の裏にある考えは何だろう?」と別の角度から見ることが大切。
感情が落ち着けば、「怒鳴るんじゃなくて、お片付け競争をしよう!」といった工夫もできるようになります。
ベッキー なんでこんなに「敬意が欲しい」って思っちゃうんですかね。なんでママって褒められたいんだろう?
内田先生 それは、進化の過程で培われた脳機能の一つに承認欲求があるから。ママに限らず、みんな褒められたいんですよ。最近はママ友に褒めあおうねって呼びかけています(笑)。
承認欲求も、進化の過程で培われた脳機能の一つ
――今は「承認欲求=悪いもの」というイメージもありますが、実はそうではない?
内田先生 褒められたいって思うのは、人間の本能なので仕方がないことなんです。
そもそも承認欲求って何であるのかっていうと、旧石器時代から社会を生き抜くために必要な機能であって、進化の過程で培われた脳機能の一つです。

人間って社会的な動物だから、旧石器時代から部族や家族の中で役割を分担し、協力しながら生きてきました。なので、「他者からの承認」は生存に直結していたんです。
だから実は、人間は「社会性」が一番の武器。例えば、部族のリーダーに気に入られることや、仲間から信頼されることは、生存確率を上げる重要な要素でした。
その名残が現代の私たちの脳にも残っているので、「褒められたい」「認められたい」と思うのは当然のことなんです。
ベッキー なるほど! それを知ると、「褒められたい」気持ちを無理に否定しなくてもいいって思えますね。
内田先生 そうなんです。「私も褒められたいし、敬意も欲しいし、友達から『いい人だな』って思われたい!」と素直に受け入れることが大切。そういうところも含めて、自分の一部って受け入れていくしかないと思います。
ベッキー 私は今日先生にたくさん褒められたことが嬉しい! みんなで褒め合いましょうね。 ママだけじゃなくて、パパも頑張ってるし、みんな頑張ってるんだから。
食べ物の好き嫌いから承認欲求まで、実は脳の仕組みによるもの。進化の視点から理解することで、「なんで?」というモヤモヤが少し楽になるかもしれません。
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