DFラインに「落ちる」判断が後半の得点を生んだ
INDEX
1. 内容紹介
【From 編集部】
「ボード」を使って徹底解説する「Pick Up Match」、第5回はドイツブンデスリーガ2021-22シーズンの第25節のボルシアMG戦を振り返ります。
リーグ戦9試合勝ち星なしのシュツットガルトは、2点先取されながら逆転勝利。その口火を切ったのが、キャプテンマークを巻く遠藤選手の今季3点目となる39分のゴールでした。
遠藤選手にとって2戦連続となるゴーでしたが、実はゴールを奪えそうな「予感」を感じ取っていました。
その感覚の背景にあったピッチ上のプレー、感覚を、戦術ボードを使いながら言語化します。
キーテーマは「数的優位」。
話は、「ハードワークとポジショニングの関係性」「インサイドハーフとボランチのタスクの違い」へと発展していきます。 (聞き手:シンクロナス編集部)
時間:49分8秒
ヘッドライン:
◇「得点」を予言できた理由
◇結果が出ないチームの中にある手ごたえ
◇この試合に臨むにあたって
◇システムを変えてきたボルシアMGと
◇インサイドハーフでDFラインまで下りるという選択
◇【1点目】ボールを受けてドリブル、逆サイドからペナルティエリアに侵入しゴール
◇【2点目】ボールを受けて落として、受ける。そこから二人をかわして縦へスルーパス
◇ハードワークとポジショニング「どこで休むか?」
◇数的優位は何のために作るのか?
◇試合後半のポイントは「一個頑張って」「時間を作る」
◇ゴールを広げて駆け寄った選手は誰!?
◇なぜ、0-2から逆転できたのか。戦術は結果である
◇試合後の選手たちとの会話とウニオン戦
2.Pick Up Match 試合データ
[2022.02.13 ドイツ・ブンデスリーガ 第22節@メルセデス・ベンツ・アレーナ]
○VfBシュトゥットガルト 3 対 2 ボルシア・メンヒェングラートバッハ●
【レビュー】
リーグ戦9試合勝ち星なしの17位シュツットガルトは、13位ボルシアMGとホームで対戦。キャプテンの遠藤選手はこの日も[4-3-3]のインサイドハーフで出場。2点を先取される苦しい展開のなか、39分に遠藤選手が今季3点目となる2戦連続ゴールを決めると、ホームチームは息を吹き返して後半2ゴールを追加して逆転勝利。10試合ぶりの白星を手にした。試合後、遠藤選手はドイツ誌『キッカー』が選ぶブンデスリーガ25節ベスト11とMVPに輝いた。
【スタメン】
【遠藤航】
スタメン出場(フル出場)
【配信内容の一部を紹介】自分の感覚は間違ってなかった
・数的優位とは?
サッカーにおける数的優位(有利)とは、攻守局面で相手よりも人数で上回っている状態をいいます。数的優位の状況をつくるとは、2対1や3対2など、相手よりも1人以上多い状態でプレーすることです。
数的優位をつくることでチーム戦術としての選択肢が広がるため、数的優位はサッカーの基本戦術と考えられています。数的優位の反対は数的不利で、1対2や2対3など数的優位とは逆の立場に置かれている状態です。2対2や3対3などの状況を数的同数といいます。
祝Pick Up Match初勝利!
遠藤 みなさん、こんにちは。遠藤航です。今回の月刊遠藤航は「Pick Up Match」5回目ということでメングラ(ボルシア・メンヘングラートバッハ)戦を振り返っていきたいと思います。この月刊遠藤航での「Pick Up Match」初勝利となりました。長かったですね。
――よろしくお願いします。長かったですね。聞く側が言うのは大変申し訳ないですが、いつもこの試合を解説してもらって悪いなと思っていました(笑)。
遠藤 結果を抜きにして、自分の考え方やプレーというものを伝えてはいましたけど、やっぱり結果を出さないといけないんで。なかなか難しい状況ではありましたけど、ついに気持ちよくできますね。
2試合連続ゴール、8番としてのフィーリングが良くなっている
――終わってみれば2試合連続ゴール。何より「1/12企画」で読書の回を録って、これが第24節ホッフェンハイム戦の前だったんですが、「そろそろゴールを取れそうな気がする」と言っていました。そこから2試合連発でした。
遠藤 そうですね。自分の感覚は間違っていなかったなって(笑)。とはいえ、2試合連続は正直サプライズなんですけど……、(その発言に至ったのは)8番としてプレーをするフィーリングみたいなものが良くなっていて、もうちょっとやり続けたら「点が取れそうだな」みたいな感覚が個人的にありました。
今回のグラートバッハ戦は流れの中で取れたので(※ホッフェンハイム戦はセットプレーからのゴール)、その8番の感覚が少し良くなってきたのと、ちょっとずつ自分の中でもわかってきたというか、こうやったらこうなるのかみたいなこととか。
ボールの受け方みたいなのも含めて少しずつ良くなってきて。この試合は攻守において、その辺の良さは出せたかなって思う。
チームとして、奪った後の前への意識は統一感がある
――そのホッフェンハイム戦から振り返らせてください。遠藤さんのゴールで1-0とリードしていましたが、85分からアディショナルタイムにかけて2失点を喫してしまいました。試合の見え方的には、試合の締め方など「課題」を指摘されることが多かったとは思うんですけど、一方で攻撃の形は結構できるようになっていたというのが、個人的には見えてきたかな、と。そのあたりの、結果とは違うところでの手ごたえを少し教えて下さい。
遠藤 攻撃においては特にボールを奪った後の前の意識は、チームとしては意思統一され始めていて、カウンターでチャンスになるシーンが多かったと思います。そのあたりはしっかりとブロックを作った中で、どうカウンターで攻めるかみたいなところの統一感はあったのかなっていう。
ただ、最後2失点したっていうところに関して言うと、少し守備的になりすぎた部分だと思うので、その点でメングラ戦とは違ったテイストの試合だったかなとは思います。
個人的なボールを受ける感覚とか、間で受けるとかちょっと落ちるといった部分は悪くはなかったと思います。ホッフェンハイム戦も。
残留のためには、どんな相手でも勝ち点を積み上げるしかない
――厳しいチーム状況で3月に入ることもあって、「残留争い」というキーワードがメディアからも飛び交っていたわけですけども、この試合に臨むにあたってのフィーリングだったりとか、どういうところを意識されたかというところをまずお聞かせください。
遠藤 もう自分たちに集中するしかないので。相手がホッフェンハイムだろうがグラートバッハだろうが、それこそバイエルンだろうがドルトムントだろうが、とにかく自分たちは勝ちを積み上げるしかないっていう。残留するためには。
自分たちにフォーカスするべきだっていう話はチームでのインタビューでも言っていました。あとはファンの方も少しずつ入ってきてくれてるので、こういう状況にありながらも作り出してくれる雰囲気にはすごく感謝していて。ファンのためにとにかく勝ちたいみたいな思いがありましたね。(続きは、本編で☑)
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