4月13日のLive配信#1のアーカイブを配信。髙田真希(女子バスケットボール選手)さんとの対談で感じた「一流アスリート」に必要な自分にフォーカスする力や、海外にいて感じる日本スポーツの課題、サッカー育成論など。(以下は本編の一部)。
(聞き手・シンクロナス編集部)
CL優勝を果たした名将の指導力
岡崎慎司(以下、岡崎) 指導って、教えることだけが指導じゃない――最近よく耳にするんですけど、そう(いうふうに)持っていく(のがいい)みたいな。
僕が(トーマス・)トゥヘル監督(現チェルシー監督)がすごいなと思ったのがそういうところで。
「こうやれ、ああやれ」ということは一切言わなかった。
練習をやって、監督が言ってることを聞いてやってたら、いつの間にかそうなってる(教えている)みたいな。監督がやりたいサッカーが見えてくるみたいな。
そういうのを、肌で感じさせてもらったのがトゥヘル監督だったので。
何かすごい自然だなというか。
(一緒にプレーしたのは)7年前ぐらいのことですけど(※)……。その時にそう感じていたということは、もう今はたぶんもっと進んでいるわけじゃないですか。
でも、あのときにやっていた、あの1年間以上に「すげぇー」ってなる(思う)のはいまだにないですね。感覚ですけど、いい悪いじゃなくて。
何か自分が想像してないことを、あのとき体験できたなって。
ただ、僕は説明がヘタなので、いつも「トゥヘル監督について聞きたいんですけど?」って言われたときに、あまりいい例えも出てこなくて。結局、こういう感覚的な話しかできないんですけど……。
「最低限」というものをいつも大事にしていた
――すごく伝わってると思います。例えば、トゥヘルさんは当然外国人の方なので、岡崎さんとは言葉の壁というか、ニュアンスとかお互いわからないじゃないですか。そういう中でサッカーをやらなきゃいけないときに、言葉だけで説明しようとすると、人によって解釈が違う。
例えば、「プレスに行け」と言ってもその強度が違ったりする。そうじゃなくて“促していける”。言葉だけではなくて練習メニューだったり、人として接し方で“促していける”というのが最高なんだろうなと。
色々取材して思うんですけど、例えばオシムさんについて阿部勇樹さんがそうだったって言うんですね。ボードを見せて(伝える)というのは、ピッチでは一切やらない。ミーティングはありますけど。
なんとなく練習していると、次戦の対策になっていると。練習の意図は説明されない、メニューは当日言われるなかで、最初はついていくのが大変だったけど、結果が出てくる。
それってもしかしたら、指導の一つの究極形なのではないかと。
全員ができるわけじゃないですけど、考えさせるとかコンプレックスみたいなものに上手に目を向けさせながら成長させる。それを体系化できたりすると、すごいいいなとは思いますね。
岡崎 なるほどー、育成とか指導の「こうするべき」みたいなのって、別になくていいと思うんですよ。例えば、戦術にしても。
ただ、何か“最低限”というものを、僕はサッカーとかでも(大事にしている)。食にしても「最低限、野菜は取ろう」みたいな。
僕はあまり食事制限しないタイプなんですけど、“最低限”をいつも考えるんですよ。例えば、フィジカルとかも、あまりフィジカルトレーニングに固執したくない、1つのことに。
毎回ルーティンを決めてやるタイプじゃないので。
ただ、最低限――例えば、(パーソナルトレーナーの)杉本龍勇さんの教えであったりとかもそうだし、どこの部分が基準なのかっていう。どこを大事にしておけばいいのかっていうのをやっぱり自分の中で整理しておいて。
あとは、そのチームのフィジカルトレーニングだったり、ウォーミングアップだったりで。
その基準にプラスアルファしていくみたいな。
ただ、その基準、どこを大事にするかっていうのがブレてると、たぶん自分の中でわからなくなってしまう。
例えば、ケガしたときに戻れなくなってしまう。でも、これ(基準)を大事にしていると整理もしやすいんですよね。
どこでケガしたかっていうところに立ち戻れるんで。
「ここ大事にしなきゃいけない」とか、「ここでブレてたな」って思うと、やっぱり振り返ると「上半身が使えてなかった」とか、「あのトレーニングをやってなかったからこうなったんかな」という反省ができるじゃないですか。
上半身と下半身の連動とかっていうのも、やっぱりどこの部分が大事っていうのはあるんですよね。例えば腰とか。腿裏のハムストリングもどこが原因でケガしてるというのは絶対あるので。
それを使えるようにしておかないといけない、全身を使えるようにしておかなきゃいけないという基準。
だから、指導とかも誰もが「ここは大事だよね」ということは共通であるべきだと思う。続きは【動画】からお楽しみください!
【動画内容】ヘッドライン
・欧州CL・レアル・マドリー vs チェルシーは”外せなかった”理由
・欧州CLと日本人選手……内田篤人が示した理想形
・髙田真希さんとの対談で一番記憶に残ったこと
・コンプレックスは自分にフォーカスさせる力になる
・トゥヘルに感じた「教えるだけが指導じゃない」 ☜記事掲載中!
・僕がいつも「最低限」を大事にしてきた理由
・指導ではどこを大事にしていくべきか
・ベース(意思)+タイミング(伝える)=考える力?
・岡崎が感じる「海外が見たJリーグ」
・髙田真希さんと共感したこと・一緒にやりたい理由
・日常にスポーツができる”場所”がない問題
・FWは自然と出てくるもの?育つもの?
・インザーギ、中山雅史さんと岡崎との共通点
【質問】
Q1.自分が上に行くための壁に対して、何か考えて工夫をするということを繰り返してきたから、今の岡崎さんの活躍があるのだと思います。一方で、指導現場で「考えろ」と言われても、そもそも考える方法が身につかないことが多いうえに、「考えろ」というのがコーチの押し付けになることがあるのかなと思います。岡崎さんは考えることを自然と身につけてきたのか、それとも誰に教わってきたのか、何かの本で読んだのか、どうやって養われてたのか知りたいです。
【質問】
Q2.日本人選手が海外チームに移籍するニュースを聞くと、上のレベルでプレーするんだなって感じるんですが、外国人選手が日本に移籍するときに海外ではどう思うのか、個人的には気になります。
【質問】
Q3.岡崎さんの理想のFWは誰ですか?
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