現場の力で作り上げた「バサラヴィレッジグリーン」
4月18日、兵庫県神戸市西区に「バサラヴィレッジグリーン(BASARA VILLAGE GREEN)」がようやく完成しました。
このグラウンドについてはlive配信や対談でちょくちょく触れさせてもらっていますが、改めて少し書いてみたいと思います。
数年前に構想し、滝川第二高校のOBとともに作った一般社団法人「マイスター」のメンバーが中心となって進められたこのグラウンド計画。みんなの根底にあったのは、“ただサッカーをする場所を作るのではなく、みんなが集まり繋がる場所を作り、そこでサッカーもできる”こと。
この場所をホームとして使用する、FCバサラ兵庫(これも滝二の同級生・岡良一と立ち上げたサッカーアカデミーです)のホームページには、こんなふうにグラウンドへの思いを記させてもらっています。
(https://basara-hyogo.com/bvg/)
「想い」優先で、突っ走ってしまいがちな僕のアクションに、同級生の岡を中心としたマイスターのみんなや、多くの業者の方、地元の人たちが力を振り絞ってくれて、「現実」にしてくれました。
僕は海外にいるので、現場にいれません。進捗を聞きながら、形にするために準備をし、奮闘するみんなに対して、シンプルに「すごい」と思いました。改めて「現場」へのリスペクトを感じる日々でした。
とはいえ、最初はこんなに時間がかかるとは思っていませんでした。
土地を買ってから1年くらい経って、その場所を見に行ったときのこと。雑草がボーボー生えていて……。
「うわ、俺の一億円、今こんな感じかー(苦笑)」
大丈夫かなっていうところから、グラウンドの建設は始まったのです。
新型コロナウイルス感染拡大で止まる工事。
環境に配慮したグラウンドにしようと、グラウンド下に雨水をため、その蒸気で表面の高温化を防ぐオランダ製の素材を導入しましたが、その輸入が遅れる。
融資を受ける書類、周辺地域の方々に説明……本当に知らないことだらけ。もともと昨年12月のオープンを予定していましたが、先日までずれ込んでしまいました。
ときには夜を徹することもあったと聞きます。それでもメンバーは「笑い」を忘れなかったそうです(これは僕たちの性格なんだと思います(笑))。しんどいなかにも笑いがある――そういう雰囲気だった、と。
僕もそこにいたかったな、と思いながら、それを口にしたら「お前はいいけど、こっちはきついんだ」って怒られそうだったので言えませんでした(笑)。
ただ、そうやって作る過程を逐一、聞いていると、現場の人たちを中心にして「大変だったからこそ、“絆”が生まれた」と思っています。
現場の人間がみんなで協力しあって、頑張って、やりきって、完成できたんだ、と。
ビジョンがあったからこそ一つになれた
今回、このプロジェクトを始めて、何かを成し遂げるためには「夢」が必要だなと思いました。ビジョンがあること、とも言えます。
グラウンドができたら、何が、どう変わるのか――。
そのビジョンがあるからこそ、みんなが関わってくれる。ビジョンがなかったら、現場の人たちも、何のためにやっているのかわからなくなると思うんです。
関わってくれている人たちには、それぞれに“想い”があります。
例えば、現場の指導者の人たちには「自分たちのグラウンドで子供たちを教えたい」という想いがあります。
例えば、クラブの運営に携わっているスタッフの人たちは、「グラウンドができたことで、地域の人たちとより深い信頼関係を築きたい」という想いがあります。
人工芝を作ってくれる人たちも、このグラウンドをひとつの事例として、次につなげることができます。
そんなそれぞれの“想い”がありながら、一つになっていることを感じられる瞬間がたくさんありました。
このグラウンドは、そうやって人の気持ちを大事に作り上げたものです。雑草だらけだった土地が、みんなの“絆”と“想い”によって完成した。
グラウンドができたとき(FCバサラ兵庫に加入してくれている子どもさんの)保護者の方たちが「すごい!」って喜んでくれていたそうです。
嬉しくなりました。「僕も早くそこに行きたい」「グラウンドを拠点に、近所の畑で育てられている作物を見てぼーっとしたい」「近所のご飯を食べてふらっと歩きながら」……2週間くらい過ごすことを夢想しています(笑)。
僕自身ができたことと言えば、きっかけを作り、土地を買っただけです。
でも、そうやってリスクを取ることで、自分も一つの貢献ができているという“想い”もあります。
何のリスクも取らずにグラウンドができたら、「ここがマイグラウンドだ」って言えませんから。
これからはこの「マイ(My)」の輪をどんどん広げていきたい。かかわってくれる人を増やして、みんなが「マイグラウンドだ」って言ってもらえるようにしたいなと思っています。
ということで、今回は簡単にここまでの思いを感謝を込めて。まだ始まったばかりです。
何より。サッカー選手としている自分を大事にしながら、これからも発信していきたいと思っています。
岡崎慎司
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日本サッカー、スポーツには世界に誇るべきポテンシャルがある。けれどそれはまだまだ世界に認められていない――岡崎慎司は欧州で13年目のプレーを迎え、その思いを強く持つ。胸を張って「日本サッカー」「日本のスポーツ」を誇るために必要なことは何か。岡崎は言う。
「新しいサッカーやスポーツの価値を探し、作っていくアクションが必要」。
「欧州にあって日本にないもの」「新しい価値を作るためのキーワード」をベースに、海外で活躍する日本人指導者や各界の第一人者たちと語り、学び、交流し、実行に移していく実験的場所!
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