「本当のアスリートの強さはどんな環境で育ってきたか」

(再生時間:51分59秒/聞き手:シンクロナス編集部)

岡崎慎司、聞く。

 僕はドイツ、イギリス、スペインでプレーしてきて、「ヨーロッパ式の育成をふくめた方法論が、なぜ日本に落とし込むことができないのか」という課題意識を持っています。
 
それは、すべて海外が良いという意味ではなく、日本の持つ良さにヨーロッパの方法論を加えることで、世界のなかでも「日本らしいサッカー文化、スポーツ文化」が浸透するのではないか、という思いが根底にあります。
 
ヨーロッパがそうであるように、スポーツの価値が社会のなかで当たり前のものとして(人々のより良い人生を支えるものとして)、育まれて行ってほしいという願いでもあります。
 
そもそも、ヨーロッパにおける「スポーツの価値」、社会の中にスポーツがあることの意味は何なのか。佐伯さんに貴重なご意見をいただきました! 

ぜひ聞いてください。

#2 Dialogue with 佐伯夕利子(ビジャレアルCF)

長年スペインの現場に身を置き、Jリーグ理事も務めてきた佐伯夕利子さんとの対談後編。“世界”と”日本”の育成現場を知る佐伯さんが考える、スポーツの持つ本来の価値、スペインでタブーとされる日本にはびこる指導環境の実情――。(以下は本編の一部)。

岡崎慎司(以下、岡崎) 長年(海外で)やってきて、僕も最近まで別に厳しく(指導を)やったほうがええやろって思ってたんですけど。
 
でも、逆転して考えたときに、僕が海外へ来て、何に苦労しているか――こんなことを考えなくてもいいのにな、自分が幸せって思えるのになって考えたときに、そう思えない。
 
自分はやっぱり「日本人として苦しいことを我慢して成長する」みたいな考えを持っていて。そうじゃなかったら、もっと楽しいのかなと。
 

佐伯夕利子(以下、佐伯) 東京オリンピックで、スペイン対日本、なでしこも苦戦をしました。あのときの選手たちのあの悲壮感を見ていて、ものすごい違和感を感じたんですね。
 
これって何なんだろうって、ずっと考えていたんです。
 
やっぱり、私たち日本人は歯を食いしばれ、頑張れ頑張れ頑張れっていう文脈を流されて育ってきているんですね、乗り越えろって。
 
それを乗り越えたら強くなれるとか成長できる、っていう文脈の中で育てられている。
 
スペインの子たちって、エンジョイエンジョイエンジョイ、ディスフルーター(楽しもう)、ディスフルーター(楽しもう)って言われてきているんですよ。
 
ずっとエンジョイのシャワーを浴びせられてきている子たちは、やっぱりトップ選手になったとき、最後の最後のところでやっぱり強い。
 
エンジョイって言われて育ってきている子は強いなって思ったんですよ。
 
本当のアスリートの強さって、“エンジョイシャワー”を浴びてきている子で、“頑張りシャワー”を浴びてきている子じゃないんだなって。
 

これ、何か確信に近い部分が感じたんですね。
 
エンジョイはダラダラ手を抜いてヘラヘラすることではなくて、その瞬間その瞬間を精一杯取り組んで、自分のために自分の成長のために、チャレンジのために集中してやりなさいっていうことであるはずなのに。
 
日本はそのエンジョイの解釈を間違っているのと、頑張れば強くなる。相手が30周走るなら、俺は31周走っているみたいな。そういう何か根性論から出てきているじゃないですか。
 
それは苦しいだけなので、最後の最後でない力を振り絞るときに、やっぱりそこではエンジョイって言われてきているアスリートにはかなわないなと、私は思いました。
 

岡崎 それはやっていて思います。……続きはフルバージョンで
 
 
 
【動画内容】ヘッドライン
◇社会におけるスポーツの立ち位置
◇キーワードは“人”と“人”
◇ヨーロッパで投資先として注目を浴びる“女性アスリート”
◇スポーツを中心に循環しているヨーロッパ
◇スポーツセンターとスポーツシティの違い
◇ヨーロッパではボールを蹴りたいときに蹴れる場所がある
◇クラブオーナーは空気を創出する空間クリエーター
◇SDGsがヨーロッパで推進されている背景
◇指導現場で今後期待したい日本人
◇全国大会の是非に見る本来の育成
◇日本にはスポーツが嫌いな層が大量にいるという実情
◇“エンジョイ”で育ってきたスペイン人、“頑張れ”で育ってきた日本人

◆時間:51分59秒
 

佐伯夕利子さん対談動画(前編)はこちら👇
https://www.synchronous.jp/articles/-/489

 

次回、dialoguew/#3 プロマラソン選手・大迫傑さん。
動画(前編)配信は5月25日(水)です!

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