スペインでは戦術は誰もが知るベースになる中で、個人の成長に特化する流れが出てきている
欧州で活躍する日本人リーダーに「日本との違い」を訊く「w/欧州指導者組 対談Live配信」 #2のアーカイブ(動画)Part.1です。
その内容を上記の動画よりご覧いただけます。
尾崎 剛士(おさき・つよし)
1983年生まれ、愛媛県出身。2006年まで筑波大学蹴球部に所属。引退後は大学院に進学、その後IT会社で勤務。2011年10月にバレンシアに渡り、アルボラヤUDで第二監督として指導者の道へ。2017年ラ・リーガ所属のレバンテUD国際部と日本人として初契約を結ぶ。
・尾崎さんの指導の哲学
・スペイン流サッカー論
・サッカーにおける戦術とは?
・スペインサッカーの育成理論
👇視聴時間👇
30分33秒
尾崎剛士「毎年新しい情報に当たることがフィロソフィー」
――では、よろしくお願いします。
岡崎、尾崎剛士(以下、尾崎):お願いします。
ーー尾崎さん、最初に簡単で結構ですので、ご経歴と自己紹介という形でお願いできればと思います。
尾崎:はい、尾崎剛士と申します。大学は筑波大学で大学を過ごしまして、そのあと大学院に進み、一般企業に4年半ほど務めた後、バレンシアに来て11年目。11年が終わったのかな?12年目に入る年になると思います。
現在はユースカテゴリーのヘッドコーチとして活動しながら、日本のそれこそお名前が出た高川学園のサポートだったりとか、あとはJリーガーの選手たちの個別の戦術サポートだったりとかっていうところで日本のサッカー界に関わらせていただいてるというところになります。
ーー岡崎さんと尾崎さんは、おふたりはご面識はちょっとあるんですよね?
岡崎:はい。一番最初はあれでしたよね? カルタヘナに来て。
尾崎:お邪魔させていただいて。
岡崎:そうですよね。そのときに高川学園の関係で?
尾崎:そうですね。
岡崎:指導者の方と2人で来てて、そこでいろいろ話して僕がバレンシアにその後、行ってっていう話で。
尾崎:はい。来ていただいて。
岡崎:はい。そういうスペインのサッカーの話であったり、僕が経験してるスペインでの毎日だったりとかっていうのを話しながら、いろいろ話して今後もそういう話ができたらなっていうのもあったり。
僕が一方的に興味があったんで、スペインの僕は選手として感覚的にいろいろ感じてる部分を、それを指導者としてライセンスであったり講習を受けたりして、どういうふうにそれが本当に感覚的なものなのか、ちゃんと育成年代がそういう指導を受けてきてこういうふうになってるのかっていうのをすごく興味があったんで、そういうのも含めて結構話を聞いてて、今回もお願いしたっていう感じですね。はい。
尾崎さんの指導の哲学
尾崎:ありがとうございます。
基本的に今スペインのサッカー事情でいうと、皆さん多分戦術とかっていうところを主に考えられてるところだと思うんですけども、現在スペインのサッカーにおいて戦術っていうのベースになりつつあって。
要は、みんな知ってる状態。ここ10~15年でそういった議論がもうすでになされて、データも集まって、論文も出てきて、ある程度の形ができてきてっていう中で、今のスペイン、全体とは言えませんけども流れとしては、少し個人の成長に特化するような流れが出てきているというのが今の流れ、スペインとしての流れなのかなというところです。
我々自身もその流れに少し沿ってチームとして構築しながらも、じゃあ個人のこの子の成長ってどうやって、どこがダメでどこをどう成長させてあげればいいのかなっていうところがより僕が来た10年前、10年前だとどうしてもチームの中で個人が成長するんだよっていう大前提を持ちながら活動してたんですけど、それがちょっとバランスが変わってきたかなっていう感じです。
個人を成長させることでチームも成長するような、チームを成長することで個人も成長するよねっていうところのちょっとした割合が、個人の方がちょっと大きくなってきてるかなっていうところを感じていながら、我々も指導をし始めているというところで。
指導フィロソフィーとかって言われると、毎年変わりますみたいな感じになっちゃうのであれなんですけど。
ーーそうなんですね。
尾崎:常にデータがアップデートされて新しい情報が出てきて、例えばフィジカルの話でいうとU-12からストレングスのトレーニングをしても大丈夫だよ、みたいな情報が出てくるわけですよ。いきなりバチッと。
その考え方を変えなきゃいけないじゃないですか? そうすると全然今までは「正」だと思ってたのが完全に覆って、U-12からストレングスのトレーニングしていいんだってなったときにまた練習の構築も変わるし、考え方も変わるしっていう中で、常に自分たちが試されているというか、データ取ってきて新しい情報に触れて、実際に検証してみて毎年考え方変えながら「あー、ちょっとでも……」とは言いながらと思いながらもちょっと心の衝撃、今までやってきたことがあるから。
これで成功してきたんだよなと思いながらも、指導に対しては、でもこっちの方がいいって言われてるからな…という戦いをしてるって感じですかね。
なので、フィロソフィーって言われると毎年新しい情報に当たることがフィロソフィーです、みたいになっちゃうんですけど。
それを子どもたちにアプリケーションしてみて、実際にやってみて、じゃあどういう反応が返ってきたか、どんな感覚を持ったかっていうのを選手に聞いて、これどう思った?だったりとか、このトレーニングのときにこの試合のときにどう思った?みたいなところでフィードバックをもらいながら我々も成長するみたいなのが、今の我々というか、私の指導のやり方というかベースになってきてるのかなと、ここ10年間で。
昔は押し付けというか、「こうやった方がいいよ」だったんですけど、常に我々も新しくならないと置いていかれるんで。
岡崎:それは誰かがチェックみたいな、入るんですか?そういうちゃんとそれに沿って、新しいフィロソフィーを取り入れてるなとかっていうのを。
尾崎:そこは町クラブレベルだとないですね。もう自分たちの中で新しい情報を取りにっていうところで、あとはもう大体プロクラブからそういう話が下りてくるので。
岡崎:はい。
尾崎:そういった話を、協会とかから情報出してくれるので、クラブもそうですけど。そういう情報に当たって、実際に彼らはこうやったよっていう、要はプロクラブが最初にダンッて走ってくれるみたいな。
その結果こうでした、じゃあ我々もっていうような動き方になるかもしれないです。なので僕らのとこに落ちてくるときには、プロクラブの検証が終わってる感じです。なので、彼らが一歩手前を進むって感じですね。
ーーやっぱりトップにあるクラブ。例えばリーガであれば、やっぱりレアル、バルサを中心にそれ以外の1部のチームだったりがいろんな検証をして、いろんなデータを集めて落とし込んで、現象として表れたものを1回ろ過するというか、良いところが指導実践というか方法となってやっぱり下にもう下りてくるっていう感じですか?
尾崎:そうですね。はい。そんな感じですね。
僕ら町クラブからすると、研究機関ですね。研究してくれててその結果をうまくいったのをちょっと教えてくれて、じゃあ我々の中でそれをアプリケーションするときに、でもプロクラブのコンテキストの中じゃなくて町クラブのコンテキストなので、そこは我々がアプリケーションするときにちゃんと考えてくださいね、みたいな感じでデータと情報はいただいて、じゃあ指導者としてそれをどう飲み込んで出していくか、みたいなところが我々のやり方というか。
それで結果が残っていくと、僕らもプロクラブからお引き取りをいただくと。っていう可能性が出てくるみたいな、こういった流れですね、指導者の流れとしては。……すべての内容は、アーカイブよりご覧ください👀✅
...