【欧州サッカー事情】小国・オーストリア1部はなぜJリーグよりリーグライセンスのハードルが高いのか？

日本はまだ「石(施設)」より「足(人)」に投資しているように見える

　今回の「岡崎慎司 Dialogue w/〜世界への挑戦状」は、ドイツ・日本・オーストリアの3カ国で、監督・コーチ・ディレクターとして幅広く活躍されてきたモラス雅輝氏（SKNザンクト・ペルテン テクニカルディレクター／オーストリア）が登場。

　ヨーロッパのサッカー界に入って28年、監督・コーチ・ディレクターとして様々なポジションからヨーロッパサッカーに関わり、日本においても浦和レッズやヴィッセル神戸でもコーチを務めたモラス氏は、オーストリアサッカー及び日本サッカーの環境について次のように分析している。

「オーストリアの人口は大阪府と同じぐらいの880万人ほど。（オーストリア）ブンデスリーガ1部に求めるインフラを持てるクラブ数も限られているので2部から1部への昇格のハードルもすごく厳しくしている。Jリーグよりもリーグライセンスのハードルが高い気がする。スタジアムのところでオーストリアはすごく厳しくしていて、国のサッカー力を高めるという点ではすごく良いこと」

「ヨーロッパ側が日本から学べることも多い。（中略）その一つがスタジアムのホスピタリティやグルメ。そういったサッカー以外の魅力を増やすことによって、新しいお客を呼ぶ。清水に行ったとき、『あんなに美味しい海鮮丼をサッカースタジアムで食べられる場所はない！』と妻も言っていた」

　日本サッカーがヨーロッパに学ぶべきものはまだまだ沢山あるが、実はヨーロッパにはない日本サッカーの魅力もあるという。日本サッカーが変わるべきところ、大切に残すべきところは具体的にどんなところなんだろうか。

　今季オーストリア2部で1位（撮影時の20節消化時点。4/17現在も23節を消化し1位）につけ躍進を続けるSKNザンクト・ペルテンのテクニカルディレクターとして、欧州サッカートレンド、欧州サッカー移籍市場に精通するモラス雅輝氏に岡崎慎司が迫ります（全3回の1回目）。

モラス雅輝（もらす・まさき）
1979年生まれ、東京都出身。現.SKNザンクト・ペルテン（オーストリア）テクニカルディレクター。16歳でドイツへ単身留学。怪我の影響で1997年にサッカー選手から指導者に転身。ドイツ、オーストリア、日本の3カ国にてサッカー監督・コーチ・ディレクターとして活動。ブンデスリーガ・スポーツマネジメント・アカデミーにアジア人初の入学・卒業。過去に所属した組織はFCレッドブル・ザルツブルク、オーストリア・サッカー協会、浦和レッズ、SVホルン、FCヴァッカー・インスブルック、ヴィッセル神戸など。

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