8月15日配信回【データ分析のプロは何をしているのか?】で取材をした「エンゲル係数」。
知っているようで知らないデータの算出方法。
数字を語るとき、そのデータを表す「言葉の印象」についイメージが引っ張られてしまうことがある。そんなちょっと要注意で、よくよく考えたら本当の意味を知らない言葉の意味を解説します。
今回は「エンゲル係数」についてピックアップします。
「データ」の算出方法が現代にマッチしない
合計特殊出生率が下がり続けているニュース。
データサイエンティスト松本さんが「もっと取り上げられるべき」と指摘したのはその「算出方法」です。
【データ分析のプロは何をしているのか?】回でも取り上げたように、2023年に発表された合計特殊出生率「1.26」が過去最低というデータは外国籍の女性を考慮せずに合計特殊出生率を算出するため、もっと低い数値が出る可能性があります。
東京新聞がこの点を取り上げ、一部では話題になりましたが、周知されているとは言い難い状況があります。
ではなぜ「外国籍の女性」を考慮しなかったのか? ここには「時代」が関係しています。
合計特殊出生率自体は、政府によって明治時代から算出されています。そしてその当時は外国籍の女性はレア中のレアでした。
時代が変わり、明治時代に比べて(当たり前に!)日本に住む外国籍の女性は増えている……けれど、その算出方法は変わらないまま……。
「メディアはこの問題についてもっと指摘するべきでは?」とは松本さんは提言します。
確かに「下がり続けていることに変わりがない」とも言えます。けれど、例えば、国際比較をするデータとして相応しいとは言えません。
このように、時代が変わるにつれて、今まで使ってきたデータが通用しなくなっている場合があるということがわかります。
時代の前提が変わって機能しなくなってきたデータ
エンゲル係数もそのうちの一つです。...