ベッキーと一緒にオーガニックについて学んでいく「Hello! Organic」、第9回目の授業テーマは植物の力で心と体の不調を整える“フィトテラピー”について。講師に植物療法士の南上夕佳先生を迎えて、フィトテラピーを学ぶきっかけとなった実体験など、さまざまなお話を伺いました。

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※この記事は【動画】【ベッキーと学ぶ】植物療法士・南上夕佳先生に教わる「フィトテラピー」の内容を抜粋、再編集したものです。

文=シンクロナス編集部

どこで始まった? フィトテラピーの起源

ベッキーさん(以下、敬称略) まずは「フィトテラピーってなに?」から教えてください!

南上夕佳さん(以下、敬称略) よく“フットテラピー”と言われちゃうくらい(笑)、まだまだ認知度が低い言葉ではあるんですけど、フィトはラテン語で植物、テラピーは療法なので、日本語で「植物療法」というように訳します。

ベッキー なるほど〜。ちなみにフィトテラピーはどこでスタートしたのですか?

南上 中国やエジプトなど諸説あるのですが、今伝えられているエビデンスに基づいたフィトテラピーは、ヨーロッパがベースになってます。

ベッキー やっぱり、そうなんだ。エビデンスを元にした起源はヨーロッパかもしれないけど、縄文人たちも使っていただろうし、世界中が生活の一部として取り入れていたものではありますよね。

南上 ベッキーさんのおっしゃる通り、梅雨時期に梅干しや梅シロップ作るおばあちゃんの知恵のように、植物を使って体と心を癒すことは日本でもやっていましたね。

 

ベッキー そもそも人間は自然の一部ですからね。ちなみに、ヨーロッパではいつ頃始まったか、分かっているんですか?

南上 最古の文献は紀元前18000年前のもので、フランスの洞窟に植物の香りを使っていたことが記されていているんです。ほかにも、神様に甘い香りを奉納していたり、聖書にも植物が書かれていたり。また、ミイラを腐らせないために、クローブとかナツメグとかを使った形跡も出てきているんです。

ベッキー 料理に使うやつじゃないですか!

うさん臭い? それとも医療? 植物療法士の仕事

ベッキー ちなみに先生の肩書きにある「植物療法士」というのは、資格がいるんですか?

南上 日本では民間の資格になるのですが、ドイツでは国家資格になっていたり、フランスだと薬剤師や看護師が取る資格でもあったり、植物療法士の資格をとってから薬局で働く方もいます。

ベッキー 日本では「植物療法士」の資格を取るのに、どれくらい勉強するのですか?

南上 だいたい一年くらいですね。植物は有機化学で解明できるので化学の授業もやって、植物の効能も勉強していきます。

ベッキー そうなんですか。ぶっちゃけ、そういうのをうさん臭いという人はいます?

南上 もちろん。なので、日本では民間にとどまっているんです。一方、ヨーロッパは医療の中に植物療法が入っているんですね。医師が西洋の薬を処方する場合と、こういう植物をお薬として処方する場合があるんです。日本はおばあちゃんの知恵みたいなイメージが強いので、うさん臭いとか怪しいとか「リラックスだけでしょ?」と思われてしまうところがあります。

ベッキー 日本は「リラックスだけでしょ?」でも、ヨーロッパでは医療として取り入れているんですね。

南上 そうなんです。ヨーロッパでは、出産の際に病院で使われていたり、乳がんの放射線治療後の黒ずんだ肌にラベンダーの精油塗るなど、医療現場で実際に使われています。

ベッキー 世界と比べて、日本の現状をどう思いますか?

南上 もう少しエビデンスが広まって「植物って本当に効くんだ」ということを知って欲しいですけど、一方で日本では自分で知識を得て、自分で購入できるのが利点なんですよね。だから日本はこれからもっと広まっていく可能性があると思っています。

ベッキー 日本でもいずれ植物療法が医療に取り入れられていくと思いますか?

南上 現在でも一部、介護施設で取り入れていたり、産後院ではフィトテラピーやアロマテラピーを用いて、産後のお母さんのケアをしているところもあります。総合病院で手術前に植物療法を用いてリラックスを——というのは難しいですが、個人規模のクリニックや在宅の医療など、できるところからじわじわと広がりつつあります。

ベッキー 確かに「手術室入る前に、じゃあこの香りどうぞ」って……ちょっと怪しいですよね(笑) 私みたいに好きな人間からすると「あ、看護師さんそんなことしてくれるんだ。この病院ちょっと好き♡」ってなるけど。

日本人になじみのある漢方も実はフィトテラピー

ベッキー 今、ふと思いました。病院でも最近漢方を処方してくれるところが増えてきましたが、漢方ってフィトテラピーに入るんですか?

 

南上 さすがですね。日本でいう、フィトテラピーの位置づけは漢方ですね。中医学、つまり中国から入ってきた生薬を使うことは、日本では保険適用になっていますし、日本人にも体質が合うので、基本的には漢方がすごくいいと思います。

ベッキー なるほど。でも先生は漢方だけではないんですよね?

南上 漢方の勉強もしているので漢方ももちろんいいと思いますし、ハーブやアロマは女性ホルモンを整えるのにいいと私自身の体験から実感しているのでお伝えしています。

ベッキー フィトテラピーってどこからどこまでのことをいうのですか?

南上 「飲む・塗る・香る」の3つで取り入れるのですが、「香る」はアロマテラピー、「飲む」のは漢方薬や、薬膳鍋のように生薬みたいなものを飲む、食べる。「塗る」は、精油を塗ると成分が血中に入るんです。

ベッキー 血中に入るんだ!

南上 特に油溶性といって油のものは皮脂膜に溶けて血中に入るという特性があるので、アロマテラピーで使うエッセンシャルオイルは香るだけでなく塗ると、いろんな効能があったりするんです。

ベッキー へぇ〜〜、そうなんだ! ということは、子どもに塗るオイルもちゃんと選ばないと、入っていっちゃうということですよね? 責任重大!

南上 そうなんですよ。よくベビーオイルってありますけど、あれは科学的な鉱物の油なので、バリアするだけで皮膚には入らないです。一方、植物の種から取れるアーモンドオイルやラベンダーの花から採れるオイルなど、そういったものは分子が小さいので20〜30分ぐらいで入っていきます。

ベッキー すごい! ちなみに、熱が出たときにキャベツを頭にのせて熱を覚ますみたいな。あれもフォトテラピーなんですか?

南上 あれも日本の古来のフィトテラピーです。

ベッキー おばあちゃんの知恵袋はフィトテラピーなんだ!

南上 そうなんですよ。なので、自然に立ち返って、おばあちゃんがやっていたことをやるのが、やっぱりすごくいいです。

ベッキー ラテン語で言うか日本語で言うかで、全く空気感が違いますね(笑)

南上 そうですね。ただ、何が違うかというのは、例えばラベンダーに入っているリナロールが痛みを取ることを医療現場や大学で長年研究されて、それが臨床までいくとフィトテラピーと言い方になったりするんですけど、おばあちゃんの知恵は、「アロエの何がいいのかはわからないけれど、なんとなく効くよね」という学問体系になっているかどうかの違いがあるといわれています。

ベッキー 昔の人たちの感覚から生まれたおばあちゃんの知恵袋的ものが、現代になって研究したらちゃんとエビデンスがあったってこと? 絶対あると思うんですけど!

南上 ほとんどそうだと思います。

ベッキー なんか無意味に人間は行動に移さない気がするというか、先ほどおっしゃったこの時期に梅仕事するのも絶対意味はありますよね。

南上 そうです。この時期に胃腸を整えるとかありますね。

ベッキー そうですよね。しかも四季がある日本で生まれたそういうものって絶対大事ですね。「そういう、うさん臭いの嫌だ」って言っている人だって、「旬なものおいしいな」と言って食べて実は取り入れているわけだから。

南上 そうですね。あとは、薬の原点は植物と言われていて、新薬の大体70〜80%ぐらいは植物が持っている成分を真似て科学的に作っているのがお薬なんです。

ベッキー そっか!

南上 お薬は副作用はあるんですけど、植物が本来持っているものをそのまま取れば、副作用なく同じように痛み止めや胃を整えることができると言われています。

ベッキー なるほどね。興味がある世界だから、いっぱい質問しちゃう。

南上 ベッキーさんのように食事などで気を遣われている方は、食事に含まれているフィトケミカルで抗酸化や解毒をしていますし、日本人は旬のものを食べるだけでフィトテラピーできるんです。

ベッキー 知らぬまにフィトテラピーをやっていたってことですね!

免疫が落ちる冬の時期をフィトテラピーで乗り切る!

ベッキー では具体的に先生が一番伝えたいこととか、こういう風に取り入れるといいよっていうのもありますか?

南上 そうですね。例えば免疫が落ちる冬だったら「エキナセア」という白血球を刺激するっていう成分が入っている植物があるんですけど、大人も子どももおじいちゃん、おばあちゃんも飲めるので、これは冬に飲んでいましたね。

ベッキー どこで飲めるんですか?

南上 オーガニック商品を扱っているコスメやさんにあるのですが、タンチュメール(フレッシュなハーブを有機アルコールに漬け込んだエキスのこと)だったり、ハーブティーだったりします。葛根湯は風邪のひき始めに効きますが、「エキナセア」は風邪ひいたあとでもいつ飲んでも効きますよ。

ベッキー ちょうど私の友人のハリセンボンのはるなが風邪を引き始めたので、教えてあげようと!

南上 ぜひ! これはコロナの時に世界中から品薄になったハーブのひとつです。お子さまも飲めますので。

ベッキー そうなんですね。先生はいつもこれをよく飲んでいるんですか?

南上 風邪をひきそうだな、という時に飲みます。

ベッキー では、普段は飲まない方がよさそうですね?

南上 そうですね、元気な時は逆に飲まなくていいです。

20代で体験した更年期から回復するまで

ベッキー ほかにも教えてください!

南上 私は「若年性更年期障害」と言って、更年期症状を20代で経験したんです。本当に閉経したみたいに生理が止まってしまったので、髪の毛が抜けたり、いわゆる寝汗、ホットフラッシュや、不安になる鬱の症状が出ました。

 ザ・更年期を経験して、「フィトテラピー」に出会ってから、ホルモン系のものを取り入れたり、精神を安定させるようなものをとってホルモン値を戻していったので、女性には特にストレス対策とホルモン対策について力を入れて伝えています。

 

ベッキー その分野に関してはもう60分ぐらい話したいですね。やっぱり女性って色々あるからね。

南上 脳に強いストレスが感知されると、ホルモンを作るのを止めてしまうんですよ。なので無月経になってしまったり、逆に生理が多くなってしまったり。生理前のイライラも含めて、皆さん生理のお悩みってあると思うんです。

ベッキー 先生は何歳のときに、若年生更年期障害になったんですか?

南上 25歳のときです。症状はじわじわ出ていました。でも、若い時ってほったらかすじゃないですか。「肌が乾燥するなぁ、まあいいか」「眠れないなぁ、まあいいか」のような感じでサインは出ていたんですけど、サインに気づくっていう姿勢がなかったんです。

 あるとき、ガタッときたんです。それは「人に会いたくないな」という、心の重みがのしかかったときに「あれ? 髪が抜けるとか、皮膚が乾燥するとか、生理がきてないとかってなんかおかしいんじゃないか?」とやっと気がついて、血液検査をしたら女性ホルモンのエストロゲンの値が0.1以下だったんです。

ベッキー 0.1というのは低い数値なんですか?

南上 閉経している人とほとんど同じホルモン値でした。なので排卵もしてないし、生理も止まっているから、お医者さんに「君が言っている症状は、全て更年期症状だよ」と言われてしまって。

ベッキー 病院で診断されたら科学的な薬を処方されそうですけど……。

南上 そうなんですよ。ホルモン治療はとても良い治療法なんですが、当時の私はちょっと調べてからと一旦留まり、何か漢方など自然な形で元に戻したいと思って、フィトテラピーと出会いました。

ベッキー 出会ったっていうのは本に出会ったんですか? それとも人に出会ったのですか?

南上 私の師匠で、森田敦子という植物療法を日本に持ってきた第一人者がいるのですが、その師匠がやっている「ルボアフィトテラピースクール」というスクールにまず出会いました。ちょっと試しにやってみようと思ったら、どんどんよくなっていたので、のめり込むよう勉強しました。

ベッキー 実際に診断を受けてからどれくらいの時間をかけて「よし治った!」と思いましたか?

南上 だいたい1年くらいです。

ベッキー それはご自身では長かったですか? それとも短かったですか?

南上 思ったより短かったです。それは体感が早かったんです。フィトテラピーを試して1ヶ月ぐらいで生理がきて。でもすぐには治らなかったので、またそこから1ヶ月止まって、またきてを繰り返しながら。でも、生理がきただけで、当時はとても感動しました。

女性ホルモンを整えるフィトテラピーを学ぶ

南上 まさか自分が若年性更年期障害になるなんて考えられないくらい元気が取り柄だったので、抱えているストレスをうまく流したり、自分を見つめてケアすることをしないと、私のように更年期だったり何らかの形で現れることがあるということ。そしてケアをすることの大切さや、薬に頼る手前でできることを伝えたいと思いました。

ベッキー 若年性更年期にぴったりなフィトテラピーはどのようなものだったんですか?

南上 「メリッサ」と「チェストベリー」は、女性ホルモンの第1サポートしてくれる植物です。女性ホルモンは、エストロゲンとプロゲステロンという2つのホルモンがあるんですけど、そのプロゲステロンに似た作用をする植物なので、まずはそれを摂ることで全身にホルモンが出てもいいよと促してくれます。

ベッキー みんなどこかで「植物の力って弱そう…」と思うけど、絶対サポートしてくれるんでしょうね。ちなみに、今おっしゃったメリッサとチェストベリーは、女性の悩みがない人でも、ホルモンを整えるって意味で摂ったほうがいいんですか?

南上 何も悩みがない場合は摂らなくてもいいと思います。ただプレ更年期(35歳〜45歳ぐらい)の時期から、じわじわとホルモンが変化していくので、その時期から飲んでおくと、その後にやってくる更年期を緩やかに過ごせることもあります。

ベッキー 私、39歳だからもう手を出してもいいですよね。ほかにも、特に女性に効果的なもの教えて欲しいです!

南上 今お話した「メリッサ」「チェストベリー」はホルモンの分泌に効果的なものです。また、子宮や卵巣の老化を防ぐ意味では、赤ぶどうの葉っぱがおすすめです。

ベッキー へぇ〜、そんなものがあるんだ!

南上 赤ワインに含まれる成分で「レスベラトロール」というものがあるのですが、これはポリフェノールがとても豊富なんですが、ワインの300倍は葉にあると言われています。茎にも含まれるのですが、ブドウの実がなる前に葉を採らないと、実に栄養がいってしまうんです。

ベッキー 「赤ぶどうの葉っぱ」と検索すれば出てくるんですか?

南上 「バン ルージュ」という商品で展開していたりします。体の酸化を防ぐっていう意味でおすすめですね。

ベッキー 他に女性が取り入れた方がいいケアはありますか?

南上 デリケートゾーンのケアなど、そういうお話でも大丈夫ですか?

ベッキー もちろん、全部聞きたいです!

南上 さきほどお話したように、オイルが体内に入る話で、体の箇所では、膣の吸収率は最も高いんです。体の中で腕の内側を1としてお顔や頭が3.5倍と言われてるのに対し、42倍の吸収率なんです。

 なので、デリケートゾーンは植物のいい精油やエキスを使っているもので洗っていただくことをおすすめしています。

ベッキー 洗う方がいいんですか? あまり洗わない方がいいのだと思っていました。

南上 脂と垢が出てくるので、お湯だけでは洗い流せない汚れが付着しているんですね。なのでデリケートゾーン用のpHのやさしく作られたもので洗っていただく方がいいです。また、女性は卵巣や子宮が骨盤の中にあるので、デリケートゾーンまわりのケアをすることで、女性ホルモンが活性化したりします。お顔や頭と同じくらい、デリケートゾーンのケアもしてほしいなと思います。

ベッキー そうなんですね!

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