結婚生活の中で積もり積もった不満や違和感。もう離婚しかないと思うほどの不仲やトラブル。
さまざまな夫婦の在り方があるからこそ、ふたりの間だけで解決できない悩みや問題を抱える人も少なくないでしょう。
夫婦カウンセラーとしてこれまで2000組以上の夫婦をサポートし、著書『夫は、妻は、わかってない。夫婦リカバリーの作法』でも注目を集める安東秀海先生が、読者の皆様から寄せられた夫婦関係のお悩みにお答えします。
今回は、夫に蔑ろにされているように感じ、離婚を考えるようになったという方からのご相談。「別れたくない」と言う夫が理解できないということですが、果たして再構築の道はあるのでしょうか?
久美子さん(仮名)からのご相談
夫婦共に40歳になったばかりです。
交際(同棲)から20年、結婚15年目。長男15歳、長女10歳。
いつからか夫から蔑ろにされている事に最近気がついてしまい、不仲になっています。
私が「◯◯に行きたいな」とか言っても、夫が返事をしてくれなかったり、私が家事や子育ての事でイライラしていると「イライラしすぎ」とか、「完璧にやろうとしている」とか言われたりします。
スキンシップ(手をつなぐ~セックスまで)も私から求めても、反応が悪く、一年程ありません。
さみしい、ちゃんとコミュニケーションやスキンシップをしたいと伝えたり、夫がどう考えているか聞いてみたりしましたが、
「行きたくない、やりたくない時に断ると、(私が)怒りそうだから返事しなかった」
「家事の頻度や程度は、自分のペースでやりたい。気になる人がやればいいと思う」
スキンシップが無いことに関しては、
「恥ずかしいし、俺は一緒にいるだけで充分」
だそうです。
それを聞いてますます蔑ろにされていると感じてしまい、しんどくなり、離婚した方がお互いのためかも、と思っています。
しかし「離婚しようか」と夫に切り出すと、「これからは返事もするし、スキンシップも日時を決めてしよう。再構築できると思うし、別れたくない」と。
私はますます、夫の事が理解できなくなっています。
夫は家事にも協力的ですし(掃除が苦手)、子ども達に関しては私より見ていると思います。
それは感謝しています。
浮気はしていないと思いますが、わかりません。
長く一緒にいますし、子ども達もある程度大きくなり、私への愛情の形や比重が変化したのは理解しますが、私がどう思っているかすら考えてなさそうなところが不満です。
話し合うごとに、私は再構築は無理かなと感じていますが、アドバイスありましたらご教示いただければと思います。
(妻・久美子、夫・宏樹)
「良き夫」のつもりだった? 離婚を切り出されてからの再構築に向けた道のりとは
話しかけてもリアクションがない、スキンシップにも消極的。そんな夫の姿に「蔑ろにされている」と感じるようになった久美子さん。
その一方で、家事に協力的で、育児も積極的。夫である宏樹さんからは、「良き夫」の顔も見えてきそうです。
でも、そんな「夫」だからこそ、不満を感じるのは私の問題なのか?と、気持ちが揺れた時もあったのではないでしょうか。
浮気や不倫のように、わかりやすい問題のないケースでは、問題を感じている側がかえって「問題児扱い」されたり、「自分が悪いのかも」と自信を失くしてしまったりする場合があります。
久美子さんのケースでも、離婚を切り出されるまでの宏樹さんは、仕事も家事も育児も「結構やってるオレ」みたいな認識があったのかな、と想像します。
そうだとすると、「結構やってるオレ」vs.「機嫌の悪い妻」みたいな構図が脳内に生まれて、久美子さんの声がなかなか届きにくい状況になっていたのかもしれません。
でも、そんな宏樹さんにも今では危機感が生まれた様子です。
ならばここは「『再構築できると思う』という彼を信じて」と言いたいところなのですが、これまでの事を考えれば、ここからの道のりを、言葉ひとつ信じて歩いて行くのは、やっぱり不安ですよね。
とはいえ、非を認めて「再構築したい」とは、なかなか言えない事で、離婚を切り出された側のリアクションとしては上々です。
それだけに、ここはきちんと取り組み方を考えて、再構築への道筋を探りたいところですが、ひとまず努力をするのは宏樹さんの方に任せてはどうでしょう?
そこで今回は、この記事をこのまま宏樹さんにシェアいただいても大丈夫なようにしておきます。
まずは、問題を整理しましょう。
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