結婚生活の中で積もり積もった不満や違和感。もう離婚しかないと思うほどの不仲やトラブル。

 さまざまな夫婦の在り方があるからこそ、ふたりの間だけで解決できない悩みや問題を抱える人も少なくないでしょう。

 夫婦カウンセラーとしてこれまで2000組以上の夫婦をサポートし、著書『夫は、妻は、わかってない。夫婦リカバリーの作法』でも注目を集める安東秀海先生が、読者の皆様から寄せられた夫婦関係のお悩みにお答えします。

 今回は、8年前に不倫していた夫のことを不潔に感じてしまう、という花子さんからのご相談。どうしても拭えない嫌悪感を、どのように捉えればいいのでしょうか?

花子さん(仮名)からのご相談

 8年前に夫の不倫が発覚し青天の霹靂だった事に加え、夫が「不倫したのはお前のせいだ」と言ったのが二重にショックで鬱病となりました。

 長い年月をかけてやっと最近、落ち着いて来たのですが……不倫していた夫の事が不潔に思え、近づくのも目が合うのも嫌なんです。

 経済的に離婚して1人になるのは厳しい状況です。

 不潔に感じる夫の事をどう捉え直せば、私は楽に生きられるでしょうか? 気持ちを切り替えられるようご指南頂きたく思います。

 尚、不倫相手は夫を好きなまま亡くなりました。

(妻・花子、夫・太郎)

怒り、悲しみ、嫌悪感……
ネガティブな感情の変化がもつ役割とは

 晴天の霹靂だった、夫・太郎さんの不倫から長い時間をかけて回復をしてきた花子さんの心。

 ところが次は彼のことが不潔に感じられて……この先どれだけ苦しまなければならないのか、と暗い気持ちになってしまうのも無理はありません。

 でも、この気持ちの変化、もしかしたら、心の回復が、ひとつ進んだから生まれたのかもしれません。

 夫婦関係の改善や修復に関わらせていただく中で、幾度となく痛々しい程の傷つきからのリカバリーのプロセスに立ち会わせていただきましたが、どのケースでも右肩上がりに心が回復していく、ということはありません。

 驚くほど心が軽くなったと思ったら、また落ち込んで、また取り組むことで少し回復をして、波のようなアップダウン、ポジティブとネガティブを行き来しながら、緩やかに落ち着いていくのが心の回復曲線なのだと理解しています。

 「夫が不潔に感じられる」というのは、もちろん健全な夫婦のカタチではないのですが、花子さんが歩んできたこれまでのプロセスを見ると、それもまた必要な回復の過程なのかもしれないな、と思うのです。

(写真:PhotoAC)

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