「子どもに何を見せたいのか」夫婦仲が子どもに与える影響
Q13.本の中で、「ママが幸せでないと、子どもたちは罪悪感を抱きやすい」とお話されていたことが印象的でした。子どもを理由に離婚しない夫婦は多いと思いますが、夫婦仲は子どもにどのような影響を与えますか?
パパとママが仲違いやケンカをしているのは子どもにとっては悲しいことです。でもそれ以上に、「僕が私が、パパとママを仲直りさせる!」と頑張りたくなることでもあるんですね。ケンカしてると間に入ってくれたり、歩いてる時にパパとママの手を繋がせようとしたり。それが成功すれば良いのですが、うまくいかないと「自分のせい?と考えてしまったりします。
また、両親は子どもにとってもっとも身近な「夫婦」ですから、結婚観や夫婦像に少なからず影響を与えます。それは自然なことではあるのですが、まずは「自分たちの関係が子どもに影響を与えるんだ」という、自覚を持っておくことが大切だと思います。
両親の仲違いやケンカをしている姿を見せたくない、と離婚を選択するご夫婦も少なくありませんが、様々な理由で離婚を選べばない場合もあるでしょうし、色んな考え方もありますからこれが正解、ということはないと思っています。
私はきちんと取り組めば夫婦の関係は改善するものと考えています。ただそれが新婚時代のように戻れるということでもありません。今の関係性を起点に、より良い関係を目指すことはできる、と思っているんですね。ただ、時間も大事です。夫婦関係を改善する取り組みにどれだけ時間を使えるのか?は常に意識しておく必要があるのではないでしょうか。
特にお子さんがいらっしゃるご夫婦の場合、幼少期から思春期に入るまではとても大切です。その時期にどんな夫婦関係を見せてあげたいのか?という視点を持っておくことはとても重要だと思います。私もカウンセリングを進めながらご夫婦の先にいるお子さんの存在は常に意識するようにしています。
Q14.夫婦がこじれた時に、最もやってはいけないことはなんですか?
浮気を見つけてしまいました、というご相談では「お金で解決するのはダメですか?」という質問を受けることが時々あります。慰謝料みたいな意味合いというより、ケジメとしてちょっと高いプレゼントを買ってもらったり、ということなんですが、これはいいと思います。
ただし、それがご夫婦で一緒に見つけたやり方で、お互いに納得感があるなら、ですね。
これが成り立つご夫婦は、前提として関係が良好なんだと思います。だって、落としどころ、つまり逃げ道を用意してあげているわけですから。ベースの信頼関係がないと、こうはいかないですよね。徹底的に追い込みたくなってしまう。
そういう意味では、夫婦仲がこじれたときに避けたいのは、逃げ道をなくしてしまうような責め方をしてしまうことですよね。追い込まれると、どんなに自分に非があると分かっていても、どうしても反射的に批判的な態度を取りやすいものです。
大切なのは自分に対しても相手に対しても、納得できる「落とし所」を見つけること。「謝ってくれたらいいよ」でも「バック買ってくれたら」でも、それが落とし所になるならいいと思います。
ただ、傷ついているときにはなかなか相手に逃げ道を用意する、なんて発想はできないですから、相手を責めてしまうほど傷ついているなら、まずは傷のケアが優先になると思います。逃げ道も落とし所も問題解決の出口としての位置付けであって、こじれが極まって関係性が最悪、という時には逆効果になる場合もあるから注意が必要だと思います。
Q15.『夫は、妻は、わかってない。』はどんな人に読んでほしいですか?
夫婦の関係が行き詰まったとき、“抜け道”を見つけたい方に、ぜひ読んでいただきたいですね。関係がこじれてしまう前に、ぜひ悩みが浅いうちに手に取っていただけたらいいなと思います。
また出版後、男性お一人で相談にお越しになるケースが増えました。夫婦関係に悩んでいるのは男性も同じなんだな、とあらためて実感しています。「他人に夫婦の問題を相談するなんて」と悩みを打ち明けにくい男性にこそ、手にとっていただけたら嬉しく思います。