元『週刊ゴング編集長』小佐野景浩氏が、かつての取材資料や関係者へのインタビューをもとに、伝説のプロレスラー・ジャンボ鶴田の強さと権力に背を向けた人間像に踏み込んだ588頁にもおよぶ大作『永遠の最強王者 ジャンボ鶴田』。

本連載では、刊行以来大反響を呼んだこの1冊に、新たな取材、証言を盛り込み改めてジャンボ鶴田の人物像に迫る。

今回は89年4・20天龍KO事件の深層、そして89年4・20大阪の鶴龍対決第4章、伝説の試合で天龍源一郎に勝利した直後のジャンボ鶴田へのインタビュー取材を特別掲載。

89年4・20天龍KO事件の深層に迫る

 1989年4月18日、大田区体育館でスタン・ハンセンを撃破して初代三冠ヘビー級王者になったジャンボ鶴田の初防衛戦は、統一からわずか2日後の4月20日、大阪府立体育会館で天龍源一郎相手に行われた。

 “隠れ名勝負”の鶴龍対決第3章から半年……三冠戦として行われた第4章も気迫と技がぶつかり合う好勝負になった。天龍がボディにキックを入れて延髄斬り、水平チョップ、ロープを疾走してのラリアットでいきなり突っ掛ければ、鶴田もボディへのキックで天龍の突進をストップさせると第3章と同じように顎を撃ち抜く打点の高いドロップキック!

 この頃になると、鶴田は天龍に読まれないようにジャンピング・ニーとドロップキックを巧みに使い分けるようになった。...