元『週刊ゴング編集長』小佐野景浩氏が、かつての取材資料や関係者へのインタビューをもとに、伝説のプロレスラー・ジャンボ鶴田の強さと権力に背を向けた人間像に踏み込んだ588頁にもおよぶ大作『永遠の最強王者 ジャンボ鶴田』。

本連載では、刊行以来大反響を呼んだこの1冊に、新たな取材、証言を盛り込み改めてジャンボ鶴田の人物像に迫る。

一度は敗北した三沢光晴への雪辱を果たしたジャンボ鶴田。彼がメディアに語ったライバル天龍源一郎への意地とは?

天龍、SWSに対する鶴田の意地

 1990年9・1日本武道館で85日ぶりに三沢光晴への雪辱を果たしたジャンボ鶴田の試合後のコメントは興味深いものがあった。

「ダテに十何年もメインを取ってないよ。正直、今日は超満員になってよかった。大量離脱があって、そんな状況で支えてくれたファンの期待に応えなければいけないと思って頑張った。会社がピンチに立たされた時に、どれだけ頑張れるかもトップの条件。今日は絶対に全日本プロレスのエースはジャンボ鶴田なんだよということをファンにわからせたかった、俺は!」と、エースのプライドを口にしたのである。

 オフに入って、週刊ゴングの金沢克彦記者のインタビューにはこう答えている。...