結婚生活の中で積もり積もった不満や違和感。もう離婚しかないと思うほどの不仲やトラブル。
さまざまな夫婦の在り方があるからこそ、ふたりの間だけで解決できない悩みや問題を抱える人も少なくないでしょう。
夫婦カウンセラーとしてこれまで2000組以上の夫婦をサポートし、著書『夫は、妻は、わかってない。夫婦リカバリーの作法』でも注目を集める安東秀海先生が、読者の皆様から寄せられた夫婦関係のお悩みにお答えします。
今回は、夫が「男性の上司と出かける」と言って実は女性と2人で出かけていたというご相談です。初めは許そうと思ったものの、次々と嘘や裏切りが発覚してきたそうで……
まるこさん(仮名)からのご相談
結婚3年目、20代後半女です。年下の20代後半の夫がいます。
2ヶ月前に夫が職場の男の上司とツーリングに行くと嘘をつき、実は女の後輩と2人でツーリングに出かけていました。
上機嫌で出かけて行きあまりに様子がおかしかったので、1週間後にスマートウォッチからLINEを見たところ発覚しました。ただ2人で出かけただけなら見逃そうと思ったのですが、その日からLINEのやりとりが頻繁にあり下ネタも平気で話していたため、もしかしたらやましい関係かもしれないと思い、夫を問い詰めました。
夫にスマホを見せるように言ったところ、出かけた日のLINEのやりとりだけ消して明らかに隠蔽工作をしていました。またデートスポットの検索履歴や、親友にわざわざ女の子とツーリングと自慢しておすすめスポットを聞いていた経緯がありました。
明らか浮気にも関わらず、夫は「男の上司と3人だった」「デートと検索したのはいいスポットが検索しやすいと思ったからで、デートとは思ってない」としらを切りつづけました。
その後2人だったと認めてからも、「ただバイクに乗りたかっただけ」「女と2人と言ったら許してもらえないと思った」など色々言い訳されました。最終的には「その子に限らず女と出かけてみたかった」「別に恋愛対象ではないけど、デートって検索して浮かれていた」などだんだん話すようにはなってきたものの、嘘や言い訳ばかりで本心がわかりません。
他にも、私が嫌と言っていたにも関わらず結婚直前に風俗へ行っていたことや、親友たちの付き合いで相席屋などの場に参加していたことが次々に発覚しました。
最初は夫の言う事を信じて許そうと思っていたのですが、度重なる嘘の発覚のせいで、実は浮気する気だったんだろう、他にも言ってないだけで秘密にしていることがあるんだろうと疑ってしまい前に進めません。
このような裏切りは初めてではなく、結婚前に夫がマッチングアプリに登録していたことがありました。そのとき私は心底傷ついて別れ話をしたのですが、泣きつかれもう裏切るようなことはしないと言われて、2年ほど時間をかけて許したことがありました。
今回、私が0歳の子どもの育児をしている中嘘をついて浮かれて女と出かけていたことや、風俗や相席屋などの裏切り行為を知り、そのときの辛い時間を踏み躙られた気持ちで凄く悔しいです。心を殺されました。
私は家族みんなを幸せにしたいと考えていたのに、そう思っていたのは自分だけで、夫は自分の欲を優先する人だったのだと思ったら、もう許してやり直したいなんて気持ちは私にはありません。
夫はまた泣きついてきて、「GPSを入れていいしお金はすべて管理していい、スマホも自由に見ていい」と言うので物理的に浮気や風俗へ行けないようにはなりました。でも、そんなことをしないと信頼できない関係など家族だとは思えません。それにこんなことを続けていたら、いつか夫婦関係は破綻すると思います。
夫は家事育児の面でも反省を行動で示してはおり、子どものためにもすぐ離婚は決断しなくてもいいのかなと思うのですが、不信感、嫌悪感でこの2ヶ月何も進みません。
今もその女とは同じ職場、部署で働いており、毎日悶々としています。なかなか反省している夫に歩み寄れないのですが、どうしたらいいでしょうか。ご助言お願いします。
(妻・まるこ、夫・ツネオ)
※頂いたご相談に編集を加えております。ご了承ください。
すぐ離婚はしない、だけど夫を許す気にもなれない。葛藤する心のためにできることは……
夫であるツネオさんが嘘をついて職場の女性とツーリングに出かけていたことを知ってしまった、まるこさん。
小さなお子さんがいらっしゃる中での軽率とも思える夫の行動に、「やり直したいなんて気持ちになれない」のもムリはないのかもしれません。
許せない、でも子どもやこれからの事を考えると簡単に離婚するわけにもいかない。そんな葛藤は、思う以上に心の負担になります。ここではまず、ムリに答えを出そうとしないことが大切。
葛藤は、相反する考えや、思考と感情の対立によって生まれる、いわば心の内戦状態です。
子どものためにも関係を改善した方が良い、と考えるまるこさんと、許せないしやり直したいなんて思えないまるこさんが、心の中で戦っている。そんな状態を想像して下さい。どちらが勝っても、もういっぽうの「わたし」は傷ついてしまう。そんな戦いはやめた方が良いと思いませんか?
やり直すもやり直さないも、許すも許さないも、今はまだ決めなくても良い。決めないことを決めることが大切な場合もあると思うのです。...