小学校6年生の息子とふたりでカナダへ教育移住を果たしたエディター
の高橋香奈子さん。WEBメディア「シンクロナス」のコンテンツ『母子ふたりの親子留学』では、高橋さんがカナダで綴る親子留学を実現するまでの道のりや、実際の暮らしぶりや現地で受ける教育についての記事が反響を呼んでいる。
著者の高橋さんに、親子移住を振り返ってみて思う反省点について話を聞いた。海外で暮らすことが初めてだった高橋さんが、もう一度移住をやり直すならこだわりたいと思うところとは──?
聞き手・文=吉田彰子
ママ友やSNS。とにかく多方面から情報収集
――小5までは塾に通って中学受験を目指していた高橋さん親子が、カナダ移住という考えに行き着いたきっかけについて教えてください。
高橋香奈子さん(以下、敬称略):私の場合は稀なケースかと思うのですが、息子の同級生が小4の時にカナダに母子で親子留学していたんです。そのお母さんとは、私もママ友として仲良かったので、帰国するたびにカナダでの暮らしぶりについて話を聞かせてもらっていました。
その頃は中学受験をするつもりだったので、「そういう道もあるんだなぁ」くらいに聞いていたのですが、その後、息子が塾を辞め、中学受験以外の道を考えたときに、話を聞いていたこともあり海外の教育を受ける選択肢が浮かんできたんです。
――身近な人が実際に経験した話だと、より現実味をもって聞けますよね。留学に向けて、ママ友以外にはどんなところで情報を集めましたか?
高橋:とにかくインターネットやSNSで検索をしましたね。カナダで親子留学している人や、親子移住している人をオンライン上で探しました。カナダ繋がりということからSNSで相互フォローして知り合った友人は、Twitter(現X)で、すでにカナダで親子留学をしている人にDMを送って、さらに詳しく話を聞いて情報収集したそうです。
SNSにはいろんな情報があるので、全部を信じすぎるとそれはそれで怖いし、情報は時と共に変わっていくものなので、SNSを信じすぎて一次情報を取りに行かないと、実際には違った、ということもあると思うんです。
でもSNSうまく活用すれば、生の声をたくさん聞くことができると思います。実際に、先述の友人はSNSで仲良くなった方がカナダから日本へ戻るタイミングで、車を譲ってもらっていました。
また、カナダで親子留学をしていたママ友に、現地でコーディネーターとして仕事をしている日本人の方を紹介してもらってその方にも話を聞きました。その他では、カナダ大使館が定期的に留学セミナーをしていたので、オンラインで参加しました。
エージェントや現地のコーディネイターが重要に
――移住を実行するにあたって、移住する地域の選定や通う学校の情報など、より詳しい情報はどのように調べたんですか?
高橋:移住の流れとして、ある程度が決まったら現地にいる個人のコーディネーターさんやエージェント会社にお金を支払い、留学の支援をしてもらいます。私も個人のコーディネーターさんにお願いしました。よくDMで「良いエージェントがいたら教えてほしいです」と聞かれるのですが、「絶対にここなら!」と言いきれるところがないのが難しいですよね。
カナダ親子留学について書いているコンテンツ『母子ふたりの親子留学』でも、留学時に肝となるコーディネーターさんについて私が経験したことを書こうと思っているのですが、もし当時に戻ってもう一度カナダ移住をするとしたら、たくさんのコーディネーターさんやエージェントに連絡をとって、いろんな人に話を聞いて比べてから決めると思います。
コーディネーターさんは実際に住んでいる地域によって情報の深度も変わるし、学校からもらえる手数料目当てでひとつの学校ばかりを推薦する悪い噂のある人もいたりします。だからこそ、面倒で手間はかかるけれど、いろんな人に話を聞いて、自分で比べて精査するしかないと思いますね。
――コーディネーターさんが移住の頼み綱という面もあるんですね。具体的には移住先の情報を得るのに、どんな点に苦労しましたか?
高橋:カナダ大使館のイベントでは、各地域の教育委員会の人がそれぞれZoom Meetingを行っていて、その地域の学校について正しい情報が聞けます。しかし「AとBの学校を比較してみるとどう?」のような話は聞くことが難しいんです。日本にいても1つ1つの情報は入るけれど、相対して比較することは難しいので、苦労しましたね。
私は渡航前に、中学校(厳密には中学と高校が一緒になったセカンダリースクール)の学区によって家の場所を決めたいと思っていたんです。日本で、カナダのそれぞれの学校の雰囲気や特徴を知るのはなかなか難しく、コーディネーターさんの話が頼りとなる面があったんです。私がお願いした人は「そんな大差ないですね」と言っていたのですが、実際にカナダに来てオープンスクールに行ってみると、学校によってだいぶ違いはあると感じました。
いろんな情報を見つけて探すことも大変だし、そこから取捨選択するのもひと苦労。そこをひとつにできないかなと思って、今回コンテンツを始めたんです。
――事前の準備段階で、語学の壁はありましたか?
高橋:コーディネーターさんは主に日本人の方が日本人向けにやっているので、すべて日本語でやり取りできます。調べていて英語のサイトに辿り着いたときでも、今は翻訳機能を使えばすべて英語から日本語に変えられるので、それほどハードルは高くないかなと思います。
やはり英語の壁というよりも、情報をいかに見つけるかに苦労しましたね。
私が役に立ったと思うサイトは、私が今いる州の小学校と中学・高校のランキングを紹介しているものです。毎年もしくは数年に一度調査をした結果を、数値化して紹介しているページがあって、「この学校は州内で何ポイントです」「学校内にELL(English Language Learner=英語学習者)は何%ですよ」などが一覧でわかるんですよ。そういった情報を見つけるほうが、英語の壁よりも大変だと思いました。
もちろん、実際に生活していく上で英語の壁はありますが、実際に調べて、代理で学校の申請をお願いするのであれば、手続き自体には英語力はそこまで必要ないかと思います。
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