テレビドラマ化された『転職の魔王様』でも話題の小説家・額賀澪が教える動画講座「「書き上げる力」が身につく小説の書き方」が、2023年7月よりスタートしました。毎月最終週は「編集部より、今月のお話」として、今月の講座の内容をテキスト記事でお送りします。
今回は、第1回「プロットとは何か」、第2回「プロットの作り方〈前編〉」の二本立て。ぜひ復習としてお役立てください。
【内容】
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作家によってまったく違う、プロットの作り方
- プロットを形作る4つの要素
- プロット作りと執筆にかける時間は「6:4」
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4つの要素のうち一番大事なのは「あらすじ」
- 1行の概要だけで「面白そう」と言わせたい
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どこからプロット作りを始めるか
- 人のプロットの作り方を真似してみる
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どうやって小説を終わらせるのか
- 小説のゴールを作る
- 必ずしもプロットどおりでなくてよい
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ラベルを貼っただけでは登場人物は動かない
- 「起承転結」には注意が必要
▼動画で見る
【小説の書き方】多くの作家が設計図=「プロット」にこそ時間をかける理由
【小説の書き方】登場人物から?ストーリーから?プロットを作るときのコツ
>>「書き上げる力」が身につく小説の書き方〈講義編〉全16回 要約を読む
作家によってまったく違う、プロットの作り方
プロットの作り方といっても、「私の場合は」という話になってしまうのですが、それは作家によってプロットの作り方が驚くほど違っているからです。
作家が五人ぐらい集まって創作の話をしていて、プロットの話題になったりすると、プロットの書き方が、みなそれぞれ違うのがわかります。
なぜかというと、その作家によって何がしっかり練られていれば小説が書けるのかというポイントが違うからです。
私の場合は、登場人物がすごく大事だと思っています。例えば主人公だったら、その主人公はどういう性格をしていて、どういう幼少期を経て、(今18歳だとしたら)18年間どういうふうに暮らしてきたか。結果、今どういう葛藤を抱いていて、それが物語の中でどう揺れ動いていくか。こういうことが、すごく重要なので、人物を練り込みます。
ストーリーに関しては前半がポイントです。どういう形で始まって、主人公がどういう人と出会って、序盤でどういうことが起こって……ということがすごく大事なんですけれど、意外と後半はそこまで練らなくてもいいと思っています。人物造形と前半のストーリーがしっかり作られていれば、後半は多分書ききることができると思っているからです。
作品を書ききることができる見通しがぼんやり立つので、物語の後半はプロットの段階では、あまり細かくは決めません。例えばスポーツ小説を執筆するとしたら、県大会の決勝で勝って全国大会に行けるのか、負けて惜しかったね、で終わるのか、それを決めないで書いています。そこは流れでいいかな、といったように。負けてもいいし、勝ってもいいと思いながら書いています。あんまり結末を決めることに意味を感じていないんです。
逆に、他の作家さんの中には、最後が決まってないなんて不安で書けないという方ももちろんいます。そういう人が私のプロットを見ると、「なんで後半こんなスカスカなの?」「いや、別に試合で勝つか勝たないかはあんまり重要じゃないから」「重要じゃないの!?」などといったやりとりがなされることもあります。
あまり人物の造形に重きを置かないで、物語の中で自然と出てきてくれればいいからと言って、書き始めるときに人物を作り込まないという人もいますし。本当に作家さんによって、プロットの何を大事にしてどう書くかというところが、全然違うのです。なので、みなでプロットを見せ合うと、結構びっくりするんです。
ですから、あくまで私の場合として、プロットをどういう要素で作っているのかお話しします。...