なぜ「ダイエット」は上手くいかないのか?

食事系や運動系、様々な方法を試してもなかなか効果が見えず、リバウンドということも何度も繰り返している。なぜ痩せないのか、どうすれば「ダイエット」は成功するのか?

「シンクロナス」のLIVE配信企画「シンクロライブ」にて、『ロジカル筋トレ』『ロジカルダイエット』(ともに幻冬舎新書)の著者で、大リーガー菊池雄星投手などアスリートのパーソナルトレーナーを務める清水忍さんにお話しいただいた「ダイエット」の誤解から、効果的なダイエットに必要な知識について、紹介します。

LIVE配信は終了しましたが、アーカイブ動画を好評配信中。

人気のダイエット系パーソナルジムの“真実”

 いま24時間営業の格安スポーツジムが増えていますが、それ以上に増えているのがダイエットを売りにするパーソナルジムです。こうしたダイエット系のパーソナルジムには「2〜3カ月で必ず成果を出す」と謳っているところが圧倒的に多いようです。

 しかし、ジムといっても、そこに通う会員のみなさんが日々がんばっているのは運動ではありません。その努力の90%以上は食事制限に向けられているはずです。食事制限なら、2カ月、3カ月と継続することができれば相当痩せられます。

 こうした人気を集めるダイエット系のパーソナルジムでは、筋トレは、やってはいるのですがそれは痩せる事が目的で行われているのではありません。

 少し話が逸れますが、「ダイエット」と「シェイプアップ」はまったく違うものです。

 ダイエットとは本来、食事制限のみを表す言葉です。一方、シェイプアップは運動によって筋肉を発達させ、体型を良くすることを指します。この2つの概念は相反します。

 なぜなら、食事制限すれば摂取カロリーが少なくなるので当然体重が落ちますが、同時に筋肉量もすごく落ちてしまうからです。体内に入ってくるエネルギーが少ないと、人間の体は最初にエネルギー消費量の多い筋肉を削ぎ落とそうとします。そのため、食事制限によって痩せはするものの、皮膚がたるんでメリハリもなくなり、見栄えの悪い体になります。

 これは筋肉を発達させてスタイルのいい体、かっこいい体をつくるシェイプアップと真逆のアプローチです。ダイエットとシェイプアップは真逆の概念なのです。

目指すは「痩せる」ではなく、「痩せる身体」

大リーガー菊池雄星投手などのパーソナルトレーナーを務める清水さんに「ダイエット」「筋トレ」の「なぜ?」に答えていただきました。

 相反する考え方ですから、筋トレにも脂肪を落とす効果はほぼありません。

 強い負荷をかけて短時間行う筋トレのような運動を無酸素運動といい、それほど負荷の強くない運動をある程度継続して行うことを有酸素運動といいますが、無酸素運動では炭水化物(糖質)がおもなエネルギー源として利用されます。有酸素運動のように脂肪は使われないので、筋トレをやっているだけでは脂肪は落ちません。

 つまり、ダイエット系のパーソナルジムが「2〜3カ月で必ず成果を出す」というのであれば、それは会員の方に食事制限を行ってもらう以外に方法がないわけです。

 もちろん、有酸素運動では脂肪をおもなエネルギー源として利用しますから、毎日30分のジョギングを2年間程度続けることができたら痩せられるかもしれません。しかし、毎日30分のジョギングを2年間続けられる人がどれだけいるでしょうか。

 2年先に成果が出る努力を毎日コツコツ続けるのは相当大変です。ほとんどの人は「できれば運動はしたくない」と考えると思うはすです。だから「食べない」というマイナス方向の努力である食事制限に安易に行ってしまうのでしょう。

 しかし、短期間で痩せられるとしても、その努力は長く続けられません。むしろ食事を我慢してきたせいで、2〜3カ月後、ダイエットを終えた途端に心理的な反動が起きます。多くの場合、食事制限を始める前よりも摂取カロリーが増えてしまうのです。

 これがリバウンドです。食事制限によって最速で痩せようとするとリバウンドが起こります。かといってジョギングなどの運動で痩せるには地道な努力を何年間も続けなければなりません。

 では、どうすればいいのか?

 それは「太りにくい体」をつくるしかありません。筋トレでは脂肪を落とすことはできませんが、自重トレーニングなどの必要な筋トレで全身を効率的に鍛えれば、基礎代謝が上がって日常生活のカロリー消費量が増えます。もちろんカロリーコントロールも重要です。

 無理な食事制限や運動に頼らなくても、論理的に「痩せる体」になることはできるのです。

清水忍氏が科学的な「筋トレ」「ダイエット」について語ったLIVE配信のアーカイブ動画はこちら