中世ヨーロッパ風の架空世界の経済活動に光を当て、狼の化身ホロと青年行商人ロレンスの旅を描いたライトノベル作品『狼と香辛料』シリーズ(著:支倉凍砂)。その奥深い世界観を、西洋史を専門とする研究者が読み解く!

仲田公輔
岡山大学 文学部/大学院社会文化科学学域 准教授。セント・アンドルーズ大学 歴史学部博士課程修了。PhD (History). 専門は、ビザンツ帝国史、とくにビザンツ帝国とコーカサスの関係史。1987年、静岡県川根町(現島田市)生まれ。

2005年に電撃小説大賞銀賞を受賞した支倉凍砂『狼と香辛料』が今年2024年、再びアニメ化されて話題を呼んでいる。 私はこの作品に...続きを読む

歴史の本を傍らに、新アニメも原作もさらに楽しもう

 以上、『狼と香辛料』I~IV巻の様々な要素を、西洋中世史の視点から眺めてみた。西洋中世史についての知識があれば、アニメ化が予定されているV巻以降についても、小ネタ含めて楽しみが増えること間違いなしである。

 本邦で読むことができる西洋中世史関連書籍の数は年々増えている。そこで、新書や概説書など手に入りやすいものを含め、文献をリストアップしてみた。今回のアニメ放映を期に、西洋中世史の本を傍らにおいて原作ライトノベルを読んだり、第二期に備えてみるのも一興ではないだろうか。

 なお、作品そのものに最も深く関係する書籍については、第1回でも紹介した作者のブログ記事を改めて参照されたい。

もっと知りたい人のためのブックガイド

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