#6 Dialogue with 鈴木隆行(元サッカー日本代表)
(再生時間:32分33秒/聞き手:シンクロナス編集部)
岡崎慎司、聞く。
今回は、元サッカー日本代表の鈴木隆行さんとの対談ラストです。
現役時代、隆行さんは2015年に39歳で引退されるまで、日本を含めて5カ国10クラブを渡り歩いてきましたが、35歳のとき、地元・茨城県にあるJ2の水戸ホーリーホックに突然入団しました。
水戸との契約内容は「0円」。隆行さん自らの希望で、無報酬でプレーしたそうです。当時、そのことは大きな話題を集めましたが、半年前に現役を引退したにもかかわらず、その後5年間プレーし、引退する2年前の2013年にはキャリアハイの二桁ゴールを記録しています。
そんな波瀾万丈なサッカー人生を歩み、FWとして長く活躍してきた隆行さんですが、その経験から得た「考え」があるそうです。
それは、「自分の今置かれているその苦境から逃げず、必ず向き合いなさい。絶対に後ろに下がるな!」ということです。
常々、スクールの生徒に対して言い続けていると、目を輝かせながらおっしゃっていたのが印象的でしたが、この言葉を聞いても、やはり隆行さんは「DFW(ディフェンシブ・フォワード」ではまったくなかったわけです。
そのうえで、隆行さんは日本の若い人たちに対して「海外は若いうちに行くべき」「覚悟を持ってほしい」とエールを送ります。
引退後、信念のあるレジェンドFWが熱い指導者として子供たちを教えています。いつか世界に誇れる日本人FWが生まれるはず! そんな期待を抱かせてくれる対談です。
ぜひみなさん、聞いてみてください!
本当はボランティアをやろうと思ったら、水戸からプレーヤーをしてくれないかと……(鈴木隆行)
新旧日本代表FW対談・後編。鈴木隆行さんがJ2水戸と「0円契約」した理由、選手として長く活躍するための秘訣、世界に誇れるFWを育てるための条件など(以下は本編の一部)。
岡崎慎司(以下、岡崎) 現役いつ引退しましたか?
鈴木隆行(以下、鈴木) 現役は39歳、2015年。
岡崎 ゴール、最後フリーキックで取ってませんでした?
鈴木 水戸(ホーリーホック)のときに1回やったぐらい。
岡崎 水戸ですよね。「あれ?フリーキック蹴れるんだ」と思ったの、覚えているんですよ、僕。
鈴木 何か知らないけど、誰も蹴らないから結局俺しか残らなくて……。
岡崎 そのインパクトあったんですよね。まだこの年齢でプレースタイルが変わるんかな、みたいな。
鈴木 そうだね。
岡崎 だって、あのとき0円でやってましたもんね。
鈴木 そうそう。
岡崎 そういうことも、いなかったですよね。
鈴木 まあ、いろいろな流れがあって、結局0円になったんだけど。
震災があってボランティアでチームを助けようと思ったんだけど、もう引退して6カ月ぐらい動いてなくて。
でも、なんかちょっと話したら「プレイヤーになってくれ」って言われて、「いやでもちょっともう無理です」って言って。
半年以上動いてないし、まったく一切動いてなかったから、とてもじゃないけど何か助けようと思ったのに、選手でお金もらうなんて、そんなこと絶対無理、できませんって言って。
だから、結局その流れから0円。他にもいろいろあったんだけど、基本的にはそういう理由で0円になった。
岡崎 そのとき何歳ですか?
鈴木 そのとき34歳とか35歳だったような気がするけど、34歳かな。
岡崎 そこから39歳までやったんですね。
鈴木 そう。
岡崎 すごいですね。
鈴木 そっからがもう、いやもう引退して。
岡崎 それ結構な転機ですね。
鈴木 そうだね。もう34歳でももうお腹いっぱい。
アメリカで終わって、アメリカで雇ってくれるっていう話になってたから、もう辞めて残りますって言って。
雇ってくださいって言ってたんだけど、何か知らないけどそういう流れで、そっから5年間もさらに、お腹いっぱいになっちゃったから。
岡崎 いや、そうですよね。
鈴木 またさらにこんなにプレーさせてくれるんだ、みたいな。
岡崎 けど、それは今考えたらよかったですか?自分にとって。
鈴木 いや、よかったね。アメリカに残るっていう選択肢もすごいね、嬉しいのもあって。それもすごく魅力的だったんだけど。
岡崎 それはクラブに?
鈴木 そう。クラブに携わる。
岡崎 今そのチームは?
鈴木 今、メジャーリーグ。
岡崎 すごいですね。そっちの道にもなったら面白いですね。
鈴木 そうなったときも、すごく魅力的だったんだけど、でも水戸に入ってそっからいろんな経験をしたりとか、いろんな人に会って。それもすごく自分の今の力になってるというか。
残ってこっち(水戸)でプレーしてよかったなって。今は思ってる気持ちが強いというか。
岡崎 野球の選手の方とかもそうなんですけど、要はすごいトップでやっていた人が地方のチームに行ったりとか、野球もプロ野球じゃなくて地域リーグが結構あるじゃないですか?
そういう人の話をチラッと聞いたときに、要はその3年間のほうが自分のためになったっていう人とかがいて。
鈴木 全然そうだね。同じことだと思う。
岡崎 そうですよね。
例えば、それってJリーグにいる選手もそう感じられるような仕組みとかがあった方が……。要はJ3とか、給料をもらってるんだけど(それだけで)生活できないような選手とかがいたりとか。
そういう選手たちが、若いときから自覚できるような(地域の関わりがあるといいのではないか)。
35(歳)とか36(歳)になって気づくのも大事なんですけど、もしこれが若いときから知っていたら(いいのに)とは感じます?それってどう思います?もっと早かったらなって。
鈴木 いやでもね、その今までの流れからそこに行ってるから余計ありがたさが分かるっていうか。
多分、若い頃にそこに行ってても、何だこの環境は?ってなっちゃうと思う(笑)。
岡崎 はいはい(笑)。
鈴木 こんな環境でやりたくねぇわって、そんなふうに投げやりになって、向上心を持ってやっていくっていうのが難しくなっちゃう。
岡崎 やっぱりそうですね。たしかに、プロっていうのはこういうもんだっていうのはありますもんね、自分たちの中では。
鈴木 自分たち、今までいい環境でやってきたとか、たくさんお金もらって。で、その中で違う環境、もっと自分の今までやってきた環境よりも悪い環境の中でやることによって、自分たちが今まで置かれてた環境がすごくいい環境だったとか、今までいろんな人に支えられてやってたんだって。
そのことを、その違いで理解できるというところもあるかもしれないよね。
岡崎 そうですよね。
鈴木 その違いがあるからこそ、いろんなことが分かってすごい勉強になったっていうふうに思えたのかもしれないし。……すべての内容はフルバージョンでご覧ください👀✅
【動画内容】ヘッドライン
◇水戸ホーリーホックと0円契約した理由☜ピックアップ
◇本当は引退してメジャーリーグで仕事するつもりだった☜ピックアップ
◇いい環境と悪い環境を知っていたからよかった……☜ピックアップ
◇選手として長く活躍するための秘訣
◇一番難しいのは苦しいトレーニングを続けられるモチベーションが保てるか
◇海外で頑張ることによって自分を成長できる
◇地獄だったブラジルでの日々
◇ブラジルに行ったときの成長が忘れられない
◇海外は早いうちに行くべき理由
◇ヨーロッパでトップレベルの環境の中で生き抜いてこそ
◇トップアスリートになるには、もう「攻める」しかない
◇世界に誇れる日本人FWを育てるには?
◆時間:32分33秒
9月7日(水)配信予定です。
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