A代表デビューから国際Aマッチ出場6試合6得点、現在14試合に出場し8得点。リーグ・アンのスタッド・ランスで欧州主要リーグ日本人初の5試合連続ゴールを記録。
日本代表とフランスの地で存在感を高めている中村敬斗。
そんな中村選手と希代のアタッカー岡崎慎司がシンクロナス「Dialogue w/」で対談。
今回はそんな特別対談の中から中村選手の「海外志向」と「自己分析」について紹介する。
(本稿は動画『【特別対談】岡崎慎司と中村敬斗「世界で点を取り続ける」FW共通のメンタリティ』を編集した前編。)
18歳で海外移籍を決断した理由
−− 中村敬斗選手は18歳で海外移籍を決断しましたよね。もともと海外志向は強かったんですか?
中村敬斗(以下、中村):はい、もともと20歳までに海外に行きたいと思っていたいました。その中でU-20のワールドカップの後にオファーをいただいて、18歳でオランダのFCトゥウェンテに移籍しました。
岡崎慎司(以下、岡崎):なんで20歳までって決めていたの?
中村:もともと海外志向が強かったのと、世代別代表チームで「ヨーロッパでは若い選手たちが活躍しているから、早く海外に行って経験を積んだ方がいい」とよく言われていたからです。
早いうちに海外に挑戦することが良いか悪いかは別として、チャンスがあれば掴みたいと考えていたんです。
−− 岡崎さんが同じ立場で、18歳で海外からオファーを貰ったら挑戦していましたか?
岡崎:チャレンジしていたと思います。実はアルゼンチンに行きたいと思っていたんで。
高校時代にお世話になっていた指導者が、かつてアルゼンチンでビエルサ監督のもとでサッカーをやっていて、テベスやバティストゥータ、クレスポなどの選手の名前をあげながら、世界で活躍する選手を目指すように教えられていました。
厳しい環境ではあっただろうけど、アルゼンチンで経験を積めば、絶対に強い選手になれると思っていました。
中村:海外でプレーすることで学べることもたくさんありますよね。
−− 中村選手はオランダに実際に行ってみてどう思いましたか?
中村:移籍してすぐに得点を取ることができたので、自分の中では意外と“順風満帆”だと思っていました。
しかし移籍して半年あたりから、チームとしてもなかなか結果が出せなくなり、僕自身も出場機会を減らし、そんな状況の中、コロナも広がってしまいました。
ローン移籍でオランダに来ていたのですが、チームからコロナの影響でチームがお金を払えないからローンをキャンセルしてほしいと言われて...。
でもすぐにベルギーのシント=トロイデンVVからオファーを受けて、また海外のチームでプレーする機会を貰いました。
−− 出場機会が減ってしまったり、コロナの影響で練習や試合をすることが難しい状況で10代の中村選手はどのようにモチベーションを維持していたんですか?
中村:試合に出たいという気持ちが大きかったのと、他の選手にポジションを奪われたくないという一心で頑張っていました。
また、当時は一度でも日本に戻ってしまうと、再び海外で挑戦できる前例がなかったので、難しいと思っていたんです。
岡崎:僕が海外移籍した年齢(24歳)で、一度日本に帰ってから海外に再挑戦することは難しいけど、18歳なら全然やり直すことはできたと思う。
でも戻らなかった。そこまで意思の固い選手は珍しいと思うし、18歳で海外に残る決断をしたことは素晴らしいね。
中村敬斗の自己分析
−− 海外のチームで活動している中で、“言語の壁”や“文化の違い”などの問題に悩むことはなかったですか?
中村:基本的に一人で活動することが多かったんですが、チームメイトとのコミュニケーションで苦労することはなかったです。
岡崎:例えば「言葉が通じない」だけでも試合に出られないこともある。
ピッチで結果を出していても「なんで自分が試合に出られないんだろう」って疑問を抱くことはなかった?
中村:オランダに移籍して最初の半年は結果を出せていたので、出場したら「絶対やれる」という自信があったんです。
「他の選手より自分のほうが」とは思わなかったんですが、試合に出れば「自分ならできる」と思っていました。
岡崎:チームでの主力が決まってきてしまうと、そこからやり返すのが難しくなってくる。しかも、コロナ禍という厳しい情勢を考えると、よく日本に帰らなかったね。
中村:シント=トロイデンVVには、僕以外にも日本人の選手が4人いたので、日本にいた時と同じような環境ではあったんです。でも、オランダにいた時期も、特にホームシックにはならなかったので、あまり周りの影響を受けないタイプなんだと思います。
岡崎:負けん気は強いタイプ?
中村:、別に負けん気が強いタイプではないと思います。ギラギラはしていましたが“闘志むき出し”という感じでもないですね。
でも他の選手たちが闘志に燃えているところを見ると、自分にはない部分なので吸収しなきゃとは思います。(文・坂本遼佑)