
昨今Jリーグを目指して多くの地域クラブが日本国内に誕生し、様々な発信を通してそれらのクラブの魅力を目にする機会は多くなった。
ただ、夢が語られる一方で、サッカークラブを運営・発展させていくことがどれだけ難しく、過酷なことなのかという現実的な視点を忘れてはいけないのではないだろうか。
そんなサッカークラブ運営のリアルに迫るべく、日本代表のストライカーとして活躍した岡崎慎司が今季から監督を務める「FC BASARA MAINZ」を取材。
日本ではなくドイツでクラブを発展させていくために具体的に何をしているのか、その実情とこれからの「FC BASARA MAINZ」の展望を「バサラマインツ奮闘記」と題して追っていく。
第1回のテーマはあまり語られることはないが経営において最も重要と言っても過言ではない「財務マネジメント」について(前後編の2回)。
前編ではサッカークラブ運営における財務の内訳について総論的な内容を取り上げた。後編ではその内訳を形作る「売上増加への努力」「支出管理方法」「設備投資」など、具体的なサッカークラブ運営の話を聞いていく。
(語り手 「FC BASARA MAINZ」前川友穂)
(取材・文 中田徹)
応援してくれる人の輪を広げる
――前回「FC BASARA MAINZ」売上について伺いましたが、今回はその中からチケット収入についてお聞きします。まず観戦チケットの値段はいくらなんですか?
6部リーグの規定で一律、チケットは成人7ユーロ(約1,100円)と決まっています。
お子さんや、65歳以上の方は4ユーロですが、バサラマインツの場合は、私のちょっとした個人的な思いもあって、18歳以上の方だけチケット代をいただいて、少しでもサッカーに触れていただくため、お子さんを無料にしています。
リーグとしても「入場料は7ユーロまで」と決めているだけなので、無料にするのはクラブ側の裁量に任されています。
――ではホームゲームの観客数は平均何人ぐらいなんでしょうか?...