渡部陽一です。
日本で起きた連続強盗事件。指示役が「ルフィ」などと名乗っていたと言われ「ルフィ事件」として大きな話題となっています。
凶悪な犯罪はもちろんのこと、別の視点――日本とフィリピンの関係もたびたび指摘されるようになりました
引き金は、その「ルフィ」と目される男を含めた4人が特殊詐欺に関わったとしてフィリピンから「強制送還」されて逮捕されたことです。
そもそもフィリピンはどんな国で、政治的にはどんな問題を抱えているのか。
実は、昨年の6月末に世界中から注目を集めていた大統領・ドゥテルテが退任したことで、新しい局面を迎えています。
今回のニュースレターでは、そのドゥテルテ前大統領(任期は2016年6月30日〜2022年6月30日)時代の取材をもとに、フィリピンについてご紹介したいと思います。
1. フィリピンの国民性と、社会の闇とは?
2.フィリピンのテロ組織の拠点
3.ドゥテルテ前大統領の存在
4.ボンボン・マルコス大統領(任期は2022年6月30日〜)の方針は!?
1.フィリピンの国民性と、社会の闇とは?
フィリピンの方々は親日的ですごく優しい。
愛情が豊かで家族や友人を大切にしている。
私がぱっと思い浮かべる「フィリピンの日常」です。
ただ一方で、貧困が大きな社会問題となっています。
「テロ」、「戦争」または「麻薬」……、こうした悲しい出来事の根底には、必ずと言っていいほど貧困があるんですね。
1日の暮らしを保つことができない。
子供たちを支えることができない。
以前、アフガニスタンについてご紹介したとき、一般の市民、農業従事者たちが麻薬の原料である「ケシ」を育てている、というお話をさせていただきました。彼・彼女たちはそれしかライフラインが存在しない。
その暮らしが苦しいからこそ、麻薬に手を出してしまったり、お金を得るためにテロ組織に入ってしまったりする。
それゆえに麻薬戦争であったり、テロによって大切に育てた子供たちが殺されてしまう。
ただ「殺されてしまう」という言葉では片付けられないぐらい、もう何十万人、何百万人という方々がテロで殺されてきたんですね。
この負の連鎖が続くことで生活も改善されない。
2.フィリピンのテロ組織の拠点
2016年11月からフィリピンへ何度も取材にいきました。
僕がフィリピンに入ったときのターゲット、目的というのは、フィリピン南部ミンダナオ島です。
このミンダナオ島。...