「イスラム組織タリバーン掃討作戦の最前線」アフガニスタン 2009年渡部陽一氏が撮影
学生時代から数えて、30年。

紛争地の取材を続ける戦場カメラマン渡部陽一氏。

米軍に従軍して取材したイラク戦争、ルワンダ内戦、コソボ紛争、チェチェン紛争、ソマリア内戦、アフガニスタン紛争、コロンビア左翼ゲリラ解放戦線、スーダン・ダルフール紛争、パレスチナ紛争、ロシア・ウクライナ紛争など、数多の戦いを目の当たりにしてきた渡部氏が今回、平和について考えます。

ガザ地区やウクライナで毎日多くの死者が出ている今、我々が出来ることは何か?

渡部陽一氏の解説です。

INDEX
①    「自国ファースト」な今の時代。
②    日本に戦争は近付いているのか。
③    渡部陽一が思う〝平和〟とは。
④    最も平和と感じた国。
⑤    最も平和から遠いと感じた国。
⑥  平和を守るために、我々が出来ること。

📷photo lineup
【アフガニスタン】イスラム組織タリバーン掃討作戦の最前線
【アフガニスタン​】アフガニスタンの前線に展開したアメリカ軍部隊

① 「自国ファースト」の今の時代。

 世界各国が外交の選択肢として、「戦争」を選ぶ時代になってきました。

 どの国でも「自国ファースト」を掲げ、必要のないところで衝突が激化。

 戦闘の利権が絡み過ぎて、相手が見えない戦争が広がっている。

 「戦争の定義が見えなくなった時代」だと感じています。 

②日本に戦争は近付いているのか?

 感じます。

 日本が戦争を引き起こすのではなく、周辺国の偶発的な軍事衝突により、戦闘に巻き込まれるという状況は想定できます。

 国際外交の偶発性が戦争に結びつく現象は万国共通。

 日本でも起こり得ると感じます。

③渡部陽一が思う〝平和〟とは。

 戦場などで出会った方に「幸せとは何でしょうか?」と聞くと、多くの人から似たような答えが返ってきます。

 それは「やりたいことを自由に選べること」。

 戦場では独裁者がいたり、攻撃を受けて家を失ったり、家族や子供たちが命を奪われてしまうケースも多々あります。

 明日にも爆弾が落ちるかもしれない。軍隊に召集されるかもしれない。

 自分の意志や判断で「こうやりたい」と思うことが出来ないのです。

 それが平和を失った国の悲しい実情と言えます。つまり、平和とは、やりたいことが自由にやれること。「選択肢」があるということと言えます。

 戦争の構図は、貧しさから自由を求める人たちと、自由を認めない強権体制や過激派組織の争い。

 自由を求めて戦い、悲しいことに戦いが自由を奪う。これが繰り返された歴史です。...