渡部陽一「1000枚の戦場」127~136/1000
第31回のテーマは「戦争はなぜ終わらないのか」について。
ウクライナ戦争、イスラエル・ガザ戦争、そして朝鮮半島の緊張・・・。
世界各地で戦争や侵略、威嚇の為のミサイル発射など、争いが絶えません。
しかし、戦いが起きている戦場にも変わらない日常があります。私は戦場カメラマンとして、危険と隣合わせで暮らす子供たちを撮り続けてきました。
なぜ対立し続けるのか? 戦争はなぜ終わらないのか?
私が最前線で取材してきてわかったのは、残酷な現実でした。
30年に渡って、世界140の国と地域を取材した戦場カメラマン・渡部陽一氏が語り下ろします。
こんにちは。戦場カメラマンの渡部陽一です。
今日はどうして戦いが止まることがないのか、どうして戦争が終わることがないのか。
戦場カメラマンとして最前線で見えてきたこと、感じてきたことに触れながら思いをお届けさせて下さい。
どうして望まない戦争がおこるのか?
私たちが生きているこの現代。
世界中で戦争が今この瞬間も続いています。
ウクライナ、パレスチナ、ガザ軍事侵攻。さらには東南アジア、ミャンマー、フィリピン南部での一部の衝突。
そして中国一帯での領海に関わる衝突であったり、アフリカでの資源・民族・宗教に関わる戦いも続いています。
誰も戦争は望んでいないのに、戦争が止まったことはなかった。
どうして戦いが続いてしまうのか。
民族、宗教、国境、領土、資源、さらには水。
この地球環境の中で限られたものを奪い合う戦い。
これが現代の戦争、戦いが続いてしまう一つの要因だと感じています。
そして、戦争が起こるもう一つの理由。その根っこにあるのは、貧困。
暮らしが崩壊し、生きていくことができないので、中東でもアフリカでも、地域の資源や水などを奪い合う衝突が起こり、必要のない怒りが広がっていき、貧困から戦いに拡大していきます。
報復のため武器をとって戦う、戦場の残酷な現実
実際に戦場の最前線では、家族や子供たちの命を奪った人物に対して、武器をとって報復をしてしまう。
報復をしてはいけないとわかっていても、子供を自分の前で殺害された時、多くの国の人々が武器を手にしてしまう。
この「血の報復の連鎖」というものは世界中の最前線で繰り返されてきている。
これが現場から見えてきた、避けられない現実なんです。
これは道徳、人権、そういった輪郭では支えていくことができない狂気の状況。
最前線での家族の苦しみ、その報復の状況というものを世界中がもう少し理解すべきだと思います。
生まれ故郷で血の報復が繰り返されていること。
これは何千年という世界の歴史の中で、ずっと繰り返されてきている。
現代でもその状況です・・・。続きはフルバージョンで✅
(この他にも、渡部陽一さんが撮影した子供たちの貴重な写真と共に紹介します。)
写真127:イラク・「復興支援の自衛隊車両に向き合う子供たち」
写真128:パキスタン・「食事配給所に行列を作る市民」
写真129:コソボ共和国・「北大西洋条約機構NATO兵士とタバコ売りの少年」
写真130:ソマリア・「銃のある日常に暮らす子供たち」
写真131:スリランカ・「スマトラ沖地震震災孤児のための青空教室」
写真132:イラク・「戦時下の小学校で授業を受ける子供たち」
写真133:パキスタン・「イスラム教合同礼拝後に食事をとる子供たち」
写真134:イラク・「戦時下の学校で手を振る生徒たち」
写真135:パキスタン・「震災避難シェルターで飲料水を運ぶ女の子」
写真136:イラク・「サッカー教室で練習に励む子供たち」
《今回のポイント》
① 戦争の原因は水や資源など地球上の限られたものを奪い合うことと、貧困。
② 戦場の最前線では家族を殺害された人による「血の報復」の連鎖が止まらない。
・写真8/1000:人道回廊で蜂の巣にされた車
・写真12/1000:並ぶ戦車(ウクライナ)
・写真17/1000:溶けたロシア軍戦車
・写真19/1000:広大なひまわり畑
・写真23/1000:忘れられた孤島「スーダン」
・写真27/1000:タリバーンが力を再興させた「アフガニスタン」の今
・写真31/1000:新疆ウイグル自治区で暮らす人々
・写真35/1000:「トランプ・共和党」熱狂の背景を映した1枚
・写真39/1000:金日成・正日が示す威光
・写真46/1000:ウクライナの悲しみを表した赤と黒の旗を羽織る少年
・写真51/1000:頭にボールを乗せるイラクの少年
・写真55/1000:イラクの群衆
・写真61/1000:街中を監視するアフガニスタンの男性セキュリティ
・写真64/1000:燃やされたウクライナ北西部のアパート
・写真70/1000:シリア国旗のミサンガをつけた避難民
・写真74/1000:ポーランドとウクライナ・キーウを繋ぐ国際列車
・写真78/1000:首都キーウ中央駅のプラットホームで再会する家族
・写真80/1000:ダルフール地方ニャラに設置された難民キャンプ
・写真86/1000:キーウの街中で目にしたアーティストの壁画
・写真87/1000:泥水に覆われた道をトラックで数か月かけて走破したジャングル
・写真91/1000:日本人襲撃テロ事件の現場となったダッカのレストラン、ホーリー・アルチザン・ベーカリー
・写真96/1000:世界遺産ハバナ旧市街の街並み
・写真101/1000:ロシア軍による軍事占拠を意味するVのマークが記された乗用車
・写真107/1000「ワールドトレードセンター爆破事件跡地に建てられたワンワールドトレードセンタービル
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