天安門広場で監視にあたる公安隊員
撮影:渡部陽一(2005年11月)

 渡部陽一です。

 中国の習近平国家主席が中国建国の父・毛沢東氏以来となる、異例の3期目に突入しました。

 そこで今回は、3月13日に閉幕した全人代から見えた「中国の野望」を見ていきたいと思います。

INDEX
1.習近平氏のライバル・李克強首相が退陣
2.新首相・李強とは?
3.台湾はどうなる!?
4.習近平政権の課題

1. 習近平氏のライバル・李克強首相が退陣

 日本の国会にあたる、中国の全国人民代表会議、いわゆる「全人代」。

 期間は短い3月5日から13日までで、日本と比べれば、短いのが特徴です。

 約3000人ぐらいの軍、地方の代表が集結。

 去年行われた5年に1度の共産党大会で、習近平国会主席(69歳)は、2期で終わるはずの任務を強制的に3期目を続けることを認めさせました。

 今回の全人代にとっては、決まっている事にハンコを押すようなものだったのですが、ただ一つ、大きな人事がありました。

 それは、習近平氏のかつてのライバルで、これまで首相として支えていた
李克強氏(67歳)の退陣です。

 粛清とも言える人事で、独裁体制を固めたと言われています。

2. 新首相・李強とは?

左が新首相・李強氏

 そして次の首相に選ばれたのが李強氏(63歳)。

※浙江省(せっこうしょう)での勤務経歴が長く(1976 年~2016 年。最後は浙江省長)、2016 年~2017 年は江蘇省(こうそしょう)書記、2017 年~2022 年には上海市書記を務めた。

 李強氏は浙江省に勤めていた2002年から2007年には習近平氏(当時、浙江省の党委員会の書記)の秘書でした。

 つまり直系、習近平の完全な右腕を今回、次の首相に抜擢したんですね。

 退陣した前首相の李克強氏もまた習近平氏の右腕として、特に経済面で凄い実績を上げていたのですが、今回の全人代では李克強氏の周りにいた人たちも政権中枢から、排除されました。...