こんにちは、渡部陽一です。
イランの動向に注目です。
4月12日、サウジアラビアのイラン大使館が7年ぶりに再開しました。
中国の仲介によって、断絶していた外交関係を「正常化」する合意がなされたことによるものです。
イラン。
反米として知られ、世界から孤立した国という印象を持つ人も多いのではないでしょうか。
今回はその大きなターニングポイントとなった1979年のイラン・イスラム革命から、シーア派とスンニ派の対立、そして近年の国内外の問題まで、注目が集まる「イラン」について解説したいと思います。
1.イランの人口の9割を占めるシーア派とは?
2.シーア派のイランの国家体制
3.イラン・イスラム革命
4.イランの若者の怒り
5.ウクライナ戦争での立ち位置
1.イランの人口の9割を占めるシーア派とは?
イランと言うと、「核保有」疑惑や、反米「デモ」、中東混乱の中でミサイル発射の準備など、過激な印象があるかもしれません。
そこでまず、イランとはどんな国なのかを簡単に説明したいと思います。
1979年の革命によりイスラム共和体制が成立したイランでは、国教であるシーア派イスラム教が全人口の約9割を占め、そのシーア派のイスラム法学者らが国家権力を掌握しています。
イスラム教は、創始者・預言者ムハンマドの時代から正統カリフ(ムハンマド亡き後の共同体、国家の最高権威者、指導者)時代までは一つにまとまっていましたが、第4代カリフのアリーの死後(661年)に分裂します。
それがスンニ派と、シーア派になります。
シーア派は、ムハンマドの従兄弟で女婿でもあった、第4代カリフ・アリーとその子孫だけを「ムハンマドの後継者」として認め、忠誠を誓う。それはつまり「ムハンマドの直系」の人しか、指導者、神の預言を繋げる人と認めないということです。
一方、スンニ派の人たちは血の繋がりがなくても正当な規律、イスラムの法規に則った法律で選ばれた指導者であれば認めていくという考え方をとっている、という違いがあります。
2.シーア派イランの国家体制
このシーア派イランの国家体制において、大統領という国家主席よりも強い権限、絶対的な力を持っている存在が宗教指導者です。
イランという国の一番の特徴は、宗教指導者が国の全てを管理するトップに君臨し、大統領はその次。この序列というものが絶対である、ということです。。
現在、その宗教指導者がハメネイ師で、彼は1979年のイスラム革命を起こした宗教指導者・ホメイニ師の跡を継いだ指導者なんですね。
イラン・イスラム教シーア派の考え方は、スンニ派とは異なる為、同じイスラム教でありながら敵対することが多くなります。これが国内で混乱を生む一つの理由です。
そんな状況の中で、イランが国外に対して強く主張をしているのが「自分たちがイスラム教のリーダー」ということです。
預言者・ムハンマドの言葉を繋げていける存在であり、仮にシーア派が少数派になったとしても、自分たちがイスラム教国を管理していくという誇りを持っています。
冒頭でご紹介したサウジアラビアは、スンニ派が多数派であることから衝突が繰り返されてきたという背景があります。...