渡部陽一「1000枚の戦場」とは 

渡部陽一「1000枚の戦場」83~86/1000

写真#86「キーウの街中で目にしたアーティストの壁画」渡部陽一氏が2023年5月撮影
【1000枚の戦場】戦場カメラマン・渡部陽一が撮ってきた膨大な写真の中から1000枚をピックアップし、「戦場のホント」を動画とテキストで解説する。

第21回のテーマはウクライナの風景。

渡部陽一はロシアによる侵略から1年と2か月以上経った2023年5月に12度目のウクライナ取材を行った。

ウクライナ情勢は日々大きく動いている。

多くのメディアやSNSで優勢、劣勢がさまざまに報じられる。しかし、現地のリアルが語られることは少ない。渡部はその「ウクライナ市民のリアル」を求めて、シャッターを切り続けた。

そこには、どんな真実が見つかったのか?

芸術の国ウクライナで広がるアートの力

 こんにちは、戦場カメラマンの渡部陽一です。1000枚の戦場。

 今回は「ウクライナ情勢、ウクライナの今」というテーマで、わたしが現場に入った最新の取材状況をご報告します。

 ウクライナ情勢が大きく動いています。

 それは何より、広島G7サミットにゼレンスキー大統領が直接参加したこと。
 
 同時にウクライナ国内ではロシアに対する攻勢が段階的に広がってきています。

 さらにロシア軍側も東部バフムートを事実上制圧したという宣言まで出してきている。
 
 情報戦と実戦の中で、ウクライナの今がどうなっているのか?
 
 首都キーウを中心にご報告いたします。

 私がキーウを訪れたのは、今年の5月9日。

 ロシアのプーチン大統領にとって、第2次世界大戦でナチスドイツに勝利した、いわゆる「戦勝記念日」です。

 もしかしたら、5月9日に、ロシアが大きなアクションを見せるかもしれない。

 そんな緊張感もあって、現地に入りました。
 
 今回ご紹介する写真。冒頭に紹介しています。

 これを見た時、なんだろうと思われる方が多いかもしれません。

 報道などでもご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、(謎のアーティスト)バンクシーが去年11月、ウクライナのキーウ近郊で新たに7つの作品を制作したことを発表し、世界を驚かせました。
 
 この行動に刺激を受けたウクライナのアーティストが今、バンクシーのように様々な形で壁画を作るという動きが今、広がっています。

 実はウクライナは芸術の国として知られ、音楽、オペラなど、様々なアーティストに世界に発信しているんです。

 冒頭の写真、十字架にも見える鉄の柱のようなもの。

 実はこれ、ロシアによる軍事侵攻の時にウクライナ軍が用意したバリケード

 悲しみの象徴でもある長さ3mぐらいのバリケードを使って、小さな女の子と男の子の壁画を組み合わせて、シーソーゲームのようなアートに仕上げています。

 芸術の力が強いからこそ、強権体制の指導者が芸術家を「風紀を乱した」という事で逮捕したり、拘束したり、芸術を燃やしたり。

 こうしたアートの力というのは実は戦場の中では必ず歴史上、大きな武器になってきたんです・・・〈続きは動画で

本動画のPOINT

① ウクライナの独立広場では、メッセージが書き込まれた大量の国旗が地面に突き刺されている。
②   キーウ、開戦以来閉店していた外資系のショップ、例えばマクドナルドなどが再開し、多くの客で賑わっている。
③   ウクライナでは5月になると、地平線を覆うほどの菜の花が広がっている。
④   戦争の悲しみの象徴でもあるバリケードを使って、アーティストがバンクシーのような壁画を作っている。芸術の力が戦場では武器に。

【その他の写真】
・写真8/1000:人道回廊で蜂の巣にされた車

写真12/1000:並ぶ戦車(ウクライナ)
・写真17/1000:溶けたロシア軍戦車
・写真19/1000:広大なひまわり畑
・写真23/1000:忘れられた孤島「スーダン」
・写真27/1000:タリバーンが力を再興させた「アフガニスタン」の今
写真31/1000:新疆ウイグル自治区で暮らす人々
写真35/1000:「トランプ・共和党」熱狂の背景を映した1枚
写真39/1000:金日成・正日が示す威光
・写真46/1000:ウクライナの悲しみを表した赤と黒の旗を羽織る少年
・写真51/1000:頭にボールを乗せるイラクの少年
・写真55/1000:イラクの群衆
・写真61/1000:街中を監視するアフガニスタンの男性セキュリティ
・写真64/1000:
燃やされたウクライナ北西部のアパート
・写真70/1000:シリア国旗のミサンガをつけた避難民
・写真74/1000:ポーランドとウクライナ・キーウを繋ぐ国際列車
・写真78/1000「首都キーウ中央駅のプラットホームで再会する家族」
・写真80/1000「ダルフール地方ニャラに設置された難民キャンプ」

👇毎配信をまとめて視聴は以下より👇 (今回の動画は2023年5月に撮影しました)

 
「現場」でしか知れない、世界のホント

「戦場」の真実をどのくらいの人が理解しているか。戦場にある悲惨な現実。犠牲になるのは子どもたち。一方で、戦場にいる人々は「私たちと同じ」日常を持っている。これも「戦場の本当の姿」――。戦場カメラマン渡部陽一が撮ってきた写真の中から、1000枚をピックアップ。写真とともにその背景を知る。「戦場の真実」と「世界の本当」を学ぶ。

 

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渡部陽一【1000枚の「戦場」】
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世界中でどのくらいの「争い」が存在していて、それはなぜ起き、今どうなり、これからどうなっていくのか。そしてその「戦場」に思いを馳せられる人はどのくらいいるでしょうか。
渡部陽一が撮ってきた「戦場の写真」をベースに、争いの背景、現実とその地域の魅力について解説するコンテンツです。

 

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