渡部陽一です。
ロシアで8月23日、自家用ジェット機が墜落し、民間軍事会社ワグネルの創設者エブゲニー・プリゴジン氏ら乗客乗員10人が全員死亡したという衝撃的なニュースが飛び込んできました。
6月23日に起こした武装反乱に失敗し、プーチン政権から免責を受けていたプリゴジン氏。
反乱から、ちょうど2か月後というタイミングでの墜落死。
この背景には何があるのか?
そして、ロシア・プーチン政権にはどのような影響があるのか?
解説したいと思います。
INDEX
Q1.プリゴジン氏の墜落死報道。ウクライナの反応は?
Q2.プーチン氏を裏切ったことによる暗殺という見方について
Q3.反乱から2か月後というタイミングの理由
Q4.ワグネルの反乱の可能性は?
Q5.プリゴジン亡き今、ロシアはまとまるのか?混乱が続くのか?
Q6.BRICsにサウジなど6カ国を追加するロシアの狙いは?
Q1.プリゴジン氏の墜落死報道。ウクライナの反応は?
6月下旬に発生した「プリゴジンの乱」は、約23年に渡るプーチン強権体制で、初めての軍事クーデターでした。
今までプリゴジン氏が抑えていた「反プーチン」という本音がむき出したことは、プーチン政権に対する不安そのものが爆発したとも言えます。
8月下旬、実際に私がウクライナの取材で滞在していた時は、言い方は荒いですが、「プーチンが飼い犬を殺した」というフレーズを繰り返し耳にしました。
Q2.プーチン氏を裏切ったことによる暗殺は事実なのか?
プーチン政権による暗殺は間違いないと思います。
ただ明確な証拠をロシア政府があげることはありません。
プーチン政権による暗殺という形の粛清は、これまで何度も繰り返されてきた「お家芸」。
元KGBのプーチン大統領が暗殺を「政権維持装置」として、取り込んでいるのが恐ろしいところです。
さらにワグネルはロシア軍が公然と行えない汚れ仕事に携わる準軍事組織。
そんな組織が資源マネーで潤い、力をつけ、軍や国防省を批判して反乱を起こしたことを政権は看過できなかったのかもしれません。
Q3.反乱の2か月後というタイミングの理由
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