渡部陽一「1000枚の戦場」とは 

渡部陽一「1000枚の戦場」99~102/1000

写真#101「ロシア軍による軍事占拠を意味するVのマークが記された乗用車」渡部陽一氏が2023年5月撮影
渡部陽一氏が撮ってきた膨大な写真の中から1000枚をピックアップし、「戦場のホント」を動画とテキストで解説する「1000枚の戦場」。

第25回のテーマは「ロシアの民間軍事会社ワグネルと創設者プリゴジン氏」について。

ロシアで6月23日に起きた民間軍事会社「ワグネル」の反乱。

蜂起の目的はショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長の罷免だったとされますが、クーデターは、わずか1日で終わり、目的は叶えられませんでした。

しかし、ロシア側も無傷ではありません。

反乱後、ロシアの通貨「ルーブル」が低迷。
 
 
6月26日の1ドル=83ルーブルから7月6日には1ドル=93ルーブルをつけるなど、内政の不安定化が懸念され、悪影響を及ぼしています。

プーチン帝国に反旗を翻したワグネル創設者・プリゴジン氏は今後どうなるのか。

粛清されるのか?それとも、プリゴジン氏が禁じ手で生き残りを図るのか?

渡部陽一氏が解説します。

ワグネル反乱の火種となるプリゴジンの激怒

 こんにちは。戦場カメラマンの渡部陽一です。

 ロシア軍事侵攻

 この事件によって、注目を浴びたのが、プリゴジン氏が創設した民間軍事会社「ワグネル」。

 このワグネルの戦闘員が、ウクライナ戦争の初期では、首都キーウの北西部に位置するイルピン、ブチャで、民間人を巻き込む残虐な行いを繰り返しました。

 2023年に入ってからは、ウクライナ東部ドネツク州バフムートの制圧作戦をワグネルの戦闘員が事実上、ほぼ賄ったとも言われています。

 ワグネルは、ウクライナ戦争で大きな戦闘実績を残してきたのですが、それと同時に面子を潰されたのが、ロシア軍でした。

 ワグネルが戦績をアピールすることで、立場が追い込まれたロシア軍はワグネルに対して、非協力的になり、兵力やミサイルなどをしっかりと渡さなかったのです。

 それどころか、ロシア軍がワグネルの部隊を殺害するような攻撃を行なったとも言われていた。

 これに激怒したのが、ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏。

 「ワグネルの実績を壊そうとした。ウクライナ戦争の戦績を挙げられなかった要因は、ロシア軍である」と言い放ちました。

 特にロシア軍でのトップにいる参謀総長ゲラシモフ、そして国防省のトップであるショイグ

 この2人を名指しで非難したのです。

反乱後のプリゴジン、気になる行く末

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