北朝鮮・平壌で緊急時の軍事滑走路として使われる幹線道路 2007年2月渡部陽一氏が撮影

 渡部陽一です。

 ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩総書記は9月13日、ロシア極東にある宇宙基地で4年ぶり2回目となる首脳会談を行いました。

 会談後のプーチン氏と正恩氏は互いを「同志」と呼び、親密さをアピール。

 朝鮮中央テレビの9月14日の発表によりますと、両首脳は多方面での交流・協力や、政治、経済、軍事などについて深く意見を交わし、「国家の主権と発展利益、地域と世界の平和と安全、国際的正義を守る上での重大な問題と当面の協力事項について、満足な合意と見解の一致をみた」として、今回の会談の成果を強調しています。

 ともに国際社会から孤立している両国がなぜ今、接近しているのか?

 北朝鮮にとって、今年初の外遊先が中国ではなく、なぜロシアだったのか?

 その背景について解説したいと思います。

INDEX
Q1.ロシアと北朝鮮が接近。それぞれの思惑は?
Q2.北朝鮮の金正恩が今年初の外遊先としてロシアを選んだ理由
Q3.北朝鮮とロシアの接近によるウクライナ戦争への影響
Q4.  中国の北朝鮮に対する影響は低下?
Q5.  中国によるロシアや北朝鮮との距離感は対米関係も意識?
Q6.  北朝鮮とロシアの接近による、日米韓への影響は?

Q1.ロシアと北朝鮮が接近。それぞれの思惑は?

 ロシア側はウクライナ戦争で不足する実戦用の弾薬やロケット砲弾などの軍事兵力を北朝鮮に期待していると思います。

 また、プーチン大統領にとっては、核保有国の北朝鮮が軍事的に協力しているという印象を国際社会に広めることで、強いロシアを演出する狙いも。

 一方、北朝鮮側は宇宙開発技術、特に軍事衛星技術を取り込みたいという狙いも。

 実際、会談に先立って、正恩氏はプーチン大統領の案内で新型ロケット「アンガラ」の組み立てを行う施設や、ソユーズロケットの発射台などを視察した際、ロシアが宇宙産業分野で成し遂げた成果や経験、今後の展望について話を聞いたと報じられています。

 また、同時に北朝鮮は繰り返す核兵器開発技術の取り込み、更に国内で不足するエネルギー、食料支援を要求しています。

 そして、双方共通するメリットとしては、互いに孤立しているロシアと北朝鮮に、頼れるパートナーがいることを誇示することで、ウクライナ戦争や、核・ミサイル開発を巡るアメリカ主導の制裁や圧力を弱めようとしているという見方もあります。

 つまり、アメリカや、ヨーロッパ、日本などに向けた国際社会に対する牽制と言えるでしょう。

Q2.金正恩が今年初の外遊先にロシアを選んだ理由

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