吹奏楽部員たちが部活に燃える日々の中で、書き綴るノートやメモ、手紙、寄せ書き……それらの「言葉」をキーにした、吹奏楽コンクールに青春をかけたリアルストーリー。ひたむきな高校生の成長を追いかける。
第25回は東海大学菅生高等学校(東京都)#3
本連載をもとにしたオザワ部長の新刊『吹部ノート 12分間の青春』も大反響!
吹奏楽部員、吹奏楽部OB、部活で大会を目指している人、かつて部活に夢中になっていた人、いまなにかを頑張っている人に読んで欲しい。感涙必至です!
厳しい現実を受け止め、残された時間でできること
翌日、学校でミーティングがあった。
ヒデノリは部員たちの前に立ち、「皆さんのおかげで金賞がとれました。ありがとうございました」と言った。口元には曖昧な作り笑いが浮かんでいた。
すると、加島先生が口を挟んだ。
「どうして自分の気持ちを隠すの? 本当のことを素直に言わないと意味ないでしょ」
そう指摘され、自分が本心を隠して思ってもいないことを口にしていたことに気づいた。何が「金賞がとれました」だ。何が「ありがとうございました」だ。自分はそんなこと、ちっとも思ってない!
ヒデノリは改めてみんなのほうを向き、自分の本心を口にしようとした。だが、出てきたのは言葉ではなく、涙だった。制服の袖で目元を拭い、声を振り絞った。
「悔しいです!」
部長の言葉に呼応したかのように、部員たちの中でも涙を流す者が増えていった。
その後、3年生が集まってそれぞれ本心を吐露した。全員が泣いた。泣くことで厳しい現実を受け止め、その重荷をみんなで背負ったのだ。
コンクールが終わっても、まだ別の大会が残っていたし、11月には定期演奏会もあるから練習は続く。しかし、ヒデノリはどうも部活に集中できなかった。心の中では「早く月日が過ぎて引退してしまいたい」とまで思ってしまっていた。
ときどき、何の前触れもなく都大会本選の表彰式の記憶がよみがえり、涙がポロポロこぼれた。フラッシュバックに苦しんでいることを、ヒデノリは誰にも言わなかった。
10月20日、全日本吹奏楽コンクールが開催された。ヒデノリはライブ配信やSNSに流れてくる情報をすべてシャットアウトして過ごした。そして、その後は定期演奏会に向けた練習を続けていった。
先生の青い手紙にはこんなことが書いてあった。
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