原爆ドーム。【2015年8月】渡部陽一撮影/広島

 渡部陽一です。

 冒頭の写真は2015年8月に広島で撮った「原爆ドーム」です。この年は、ドームが建てられて100年、原爆投下から70年という節目の年でした。

 その広島で、G7広島サミット(第42回先進国首脳会議)が5月19~21日の日程で開催されます。

 参加国である日本、フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダの7か国に加えて、欧州理事会議長と欧州委員会委員長も参加。

 世界経済、地域情勢、さまざまな地球規模の課題について意見を交わす、国際会議です。

 前回の日本開催は2016年の伊勢志摩サミット。そのサミット後に、安倍元首相と当時のアメリカ大統領バラク・オバマがこの広島の地にやってきました。

 原爆を落としたアメリカの大統領が慰問するのは初めてのことで、歴史的なサミットとして記憶されています。

 今回の広島サミット、戦場を撮り続け、多くの国や地域の人々の姿を「写して」きた私にとって、とても興味深いポイントが多くあります。

 例えば、ウクライナ戦争が続く中、G7議長国を務める日本、岸田総理大臣が世界にどんなメッセージを発信することができるのか。

 今回のニュースレターではG7広島サミットのポイントをご紹介するとともに、ゴールデンウイークに実施した岸田総理のアフリカ歴訪の狙いを解説したいと思います。

INDEX

1.G7広島サミットの2つのキーワード
2.ウクライナ戦争を止めるには?
3.議長国・日本に期待されることは?
4.岸田総理とグローバルサウス

1. G7広島サミットの2つのキーワード

 キーワードは「平和」と「核軍縮」。

 ウクライナ戦争が緊迫化する中、ロシアによる核兵器使用のリスクへの懸念が高まり、世界中に不安が広がっています。

 世界の平和と持続的な発展に向けた対話の場所として、会場に選ばれたのが、「国際平和文化都市」であり、岸田総理の地元(選挙区)・広島。...