渡部陽一「1000枚の戦場」87~90/1000
第22回のテーマは渡部陽一さんの戦場カメラマンの原点について。
およそ130の国と地域を訪れている渡部氏が今年の6月、活動30周年を迎えました。
その原点とも言えるのが1993年と、1994年に訪れたアフリカ、コンゴ民主共和国でのサバイバル体験だったと言います。
当時、大学生だった渡部氏が体当たりで挑んだ、ジャングル走破、川下り、そして日本ではまず食べることがない“ゲテモノ料理”。
戦場カメラマンを志すきっかけになったコンゴの強烈な旅について、写真の解説をご覧下さい。
過酷な環境で挑んだ究極の長距離トラック移動
こんにちは。戦場カメラマンの渡部陽一です。シンクロナス1000枚の戦場。
実は僕、戦場カメラマンになってから、今年の6月で30年を迎えました。
そこで、今回は原点となった僕の取材の場所。
アフリカ中部、ザイール。現在のコンゴ民主共和国についてご報告いたします。
元々ベルギー領だったコンゴは1960年に「コンゴ共和国」、1971年に「ザイール共和国」に変更し、1997年からは「コンゴ民主共和国」となっています。
私がカメラを持たずに訪れたのは1993年、そして今回ご紹介する1994年。
当時は、ザイール共和国という国名でした。
冒頭の写真。
ジャングルの中、奥の方にトラックが停まっています。
これは、ドイツ製の「MAN」というメーカーのトラックで、これに塩魚を積んでジャングルを約3か月近く越えていくという過酷な作業に携わりました。
このジャングル。光の加減でちょっとわかりづらいかもしれませんが、周りを覆っている木の高さは、30mとか40mほどの尋常じゃない大きさ。
その原生林の中をトラックに乗って、ゆっくり時速2キロぐらいで進んで行きました。
なぜ、こんなに遅いのかと言いますと、悪路だからなんです。
写真の手前にあるように、道には直径3mぐらいの大穴が開いていて、泥水が溜まっているという状態。
この穴が10m間隔であちこち開いていて、トラックがこの穴に埋まる度に、みんなで押してあげて、10m先のまた穴に埋まって、またそれを掘って押し上げていく。
気の遠くなるような作業でした。
しかし熱帯雨林のジャングルの中では、この道しかないという状況。
できる限り、この穴に埋まらないように避けてみると、周りには大木の原生林。
トラックのタイヤが入ることができない大木であったり、トゲの木が続いてるんですね。それゆえに、この泥沼に入るしか進む方法はありませんでした。
泥沼に入る時、トラックに積んである大きな板で道の穴を塞ぎ、トラックが空回りしないように突き進んでいく。
歩いた方が速いぐらいでしたが、ジャングルの奥地に暮らしている人たちに塩魚を届けるという任務があった為、トラックを使うしか方法がなかったのです。
3か月、4か月に渡り、ジャングルの悪路をひたすら越えていく。まさに、究極の長距離トラック。
そんなサバイバルだった究極の長距離トラックに僕は乗せてもらいながら、ジャングルを越えていったのが戦場カメラマンになった、一つの入口なんです・・・〈続きは動画で✅〉
本動画のPOINT
① 塩魚を届ける為、数ヶ月かけてジャングルを走破。
② 携帯音楽プレーヤーと物々交換したカヌーで、命懸けのザイール川下り。
③ ジャングルで暮らす為には、毛虫も貴重なタンパク源。
④ 30年前のコンゴ(ザイール)でのサバイバル体験が戦場カメラマンの原点に。
【その他の写真】
・写真8/1000:人道回廊で蜂の巣にされた車
・写真12/1000:並ぶ戦車(ウクライナ)
・写真17/1000:溶けたロシア軍戦車
・写真19/1000:広大なひまわり畑
・写真23/1000:忘れられた孤島「スーダン」
・写真27/1000:タリバーンが力を再興させた「アフガニスタン」の今
・写真31/1000:新疆ウイグル自治区で暮らす人々
・写真35/1000:「トランプ・共和党」熱狂の背景を映した1枚
・写真39/1000:金日成・正日が示す威光
・写真46/1000:ウクライナの悲しみを表した赤と黒の旗を羽織る少年
・写真51/1000:頭にボールを乗せるイラクの少年
・写真55/1000:イラクの群衆
・写真61/1000:街中を監視するアフガニスタンの男性セキュリティ
・写真64/1000:燃やされたウクライナ北西部のアパート
・写真70/1000:シリア国旗のミサンガをつけた避難民
・写真74/1000:ポーランドとウクライナ・キーウを繋ぐ国際列車
・写真78/1000:首都キーウ中央駅のプラットホームで再会する家族
・写真80/1000:ダルフール地方ニャラに設置された難民キャンプ
・写真86/1000:キーウの街中で目にしたアーティストの壁画
👇毎配信をまとめて視聴は以下より👇 (今回の動画は2023年5月に撮影しました)...