桶狭間合戦、関ヶ原合戦など、いまだ謎多き戦国合戦を最新研究と独自の考察で解き明かす『戦国大変 決断を迫られた武将たち』(発行:(株)日本ビジネスプレス 発売:ワニブックス)が発売中の乃至政彦氏。今回は先週連載が終了した『ジャンヌ・ダルクまたは聖女の行進』についてと、新連載について語ります。
(1)はじめに
(2)序章 ジャンヌ・ダルクと平将門①
(3)序章 ジャンヌ・ダルクと平将門②
(4)第一章 村娘の冒険①
(5)第一章 村娘の冒険②
(6)百年戦争とフランス王国の分裂
(7)ブルゴーニュ派とアルマニャック派とイングランド
(8)シャルル7世の義母ヨランド
(9)リッシュモンの活躍
(10)オルレアンの抵抗
(11)1412年、祭日の夜に生まれたジャンヌ
(12)ドンレミ村で孤立するジャンヌの父
(13)ドンレミ村を出た子供
(14)司令官への訴えはジャンヌの実母が主導した
(15)ジャンヌ・ダルク傀儡説の真偽
(16)人工聖女を創出した人々
(17)シノン騎行の若き護衛たちと男装の村娘
(18)人工聖女とシノンの王太子
(19)オルレアン籠城戦とニシン合戦
(20)ジャンヌの進発
(21)デュノワの時間稼ぎ
(22)小勢でオルレアンに入ったジャンヌ
(23)ジャンヌ派の躍動とオーギュスタン砦の奪還
(24)トゥーレル奪還とオルレアン解放
(25)フランス王国軍の逆襲
(26)パテー会戦
(27)シャルル7世のランス入場
(28)国王の戴冠と公国の陰謀
(29)フランス王国軍の敗戦
(30)資金難と新たな人工預言者
(31)囚われた奇跡
(32)奇跡のはじまり
ジャンヌ・ダルクの連載を終えて
ジャンヌ・ダルク最終回はいつもの2.5倍ぐらいで読むのに体力を使われたことと思います。私もそれなりに体力を使いましたので、今回は息抜きコラムとさせてください。
思いのほか長く連載してきたジャンヌ・ダルクについて少しだけ執筆動機を明しておきます。
ジャンヌには、昔から関心があったのですが、そのイメージとストーリーがあまりにも出来すぎていて、首を傾げるようなところが多く、実際はどうだったのだろうかと思っていました。
それで関連書籍を買い集め、余裕のあるときに眺めていたのですが、気づいたことがいくつかあり、しかもどうやらこれらを日本のみならず外国でも指摘している人がいないらしいことが見えてきました。日本史の調べ物でもこういうことはよくあって、それなら自分がやっておかないと、この先何百年も誤解されたままではよろしくないと思い、日本語訳の史料をベースに独自の評伝を形作ることにさせていただきました。
該当国の言語がよくわからないまでも、幸い日本は翻訳大国であるので、ジャンヌ・ダルクの基礎となる史料はほぼ揃っていると判断してのことでしたので、ご専門の方から見たら「ここは基本を踏まえていない」と声をあげたくなるところもあるかもしれません。その際にはぜひお声をお聞かせください。
連載にお付き合いくださり、ありがとうございます。
さて、次からは新たに、常陸の戦国武将・小田氏治の合戦をメインテーマとする連載を進めさせていただきます。
闘将!!小田天庵の合戦
小田氏治については、過去にこういう記事を書きました。
ここでは割と滑稽な紹介をしましたが、いくらか調べるにつれて、次のような闘志に燃えていた人物だったのではないかと思い直しつつあります。
悪の栄えた試しなし
愚将・暴将、裁きます
常陸の正義は小田天庵
洲浜の不死鳥、修羅になれ
──ということで、来月から「関東戦国史と小田天庵(仮)」を連載いたします。「天庵」は上杉輝虎の「謙信」、武田晴信の「信玄」と同じく氏治の法号で、後半生の氏治この名乗りを使いました。...