「歴史ノ部屋」でしか読めない、戦国にまつわるウラ話。今回は「謙信公祭」について。上越市でほぼ毎年行われている「謙信公祭」、今年で99回目になるこの祭りに現地取材した乃至政彦のレポートをお届けする。

越乃リュウさん演じる上杉謙信。自らの顔を魅せることよりも、謙信を演じることを優先して、暑い中でも白い頭巾姿で出陣することを選んだという 撮影/乃至政彦(以下同)

人々が育てたお祭りの歴史と未来、新潟県の第99回謙信公祭

 令和6年(2024)8月24日、新潟県上越市の謙信公祭に行ってみた。10年以上も上杉謙信の仕事をやらせてもらっておきながら、謙信公祭に行ったのはこれが初めてである。

 謙信公祭は、もと高田藩士で、明治34年(1901)に春日神社を創建した小川澄晴が大正15年(1926)に起こした祭りで、謙信顕彰に生涯を捧げた澄晴の所産のひとつといえる。

 もちろん謙信にもそれほどの魅力があった。会員の皆さんには言うまでもないので説明を加えないが、もともとは謙信が七尾城を制圧して、漢詩を読んだ9月13日を祭日としていた(昭和39年に8月下旬となった)。また、剣道、柔道、弓道、相撲など武道の奉納試合と、林泉寺の宝物展示会などが催されて、現代に蘇る上杉謙信の精神という感があったようだ。

 ただ、そこにある精神教育的な意識はすでに昔のこととなり、年を重ねるに連れて、地域発信のエンターテインメントとしての性格を強めていくことになる。

地域のお祭りから世界のお祭りへ

これまで屋外で実行されていたステージイベントも、今年は暑さ対策のため上越文化会館の屋内で開催されることになった

 時を経ていくことで謙信公祭は、日本中から観光客が集まる巨大催事と成長していった。ステージイベントを楽しむ人々の中には、外国人の姿も目立った。...